綺麗事だと思った。本心は他のやつらと同じくせに。むしろ綺麗な言葉で飾りたてる分、醜くみえた。けど、瞳を輝かせながら夢を語るマルコに嘘はないように思えた。驚いた。保身のため憲兵になりたいわけじゃなく、本気で王のためにその身を捧げるつもりだ。

「本当は自分が助かりたいだけでしょう?」

目を見れば嘘でないことはわかるが、あえて意地悪をしてみた。マルコは苦笑している。きっと似たようなことを何度も言われてきたのだろう。

「信じてもらえないかもしれないけど本当だ」

「王のためなら命も投げ出せる?」

「勿論。そのために僕は憲兵になるんだから」

迷いなく言い切った。調査兵団に入るって豪語しているエレンみたいだ。むしろエレンとマルコは同じなのかもしれない。いく先は違えど、夢のために命をかけることが出来る。だからこそ本物なんだ。今時こんなやついるんだと感心しつつ立派だね、と本心からそう言えば、マルコはそんなことないよ、と照れ臭そうに笑っていた。






私も内地に行って安全で快適な生活をしたいと思ううちの一人だが、残念ながらその権利は得られなかった。10番以内に入れたやつらが妬ましがマルコは違う。マルコが憲兵になるのは素直に祝福出来た。そんな風に思えたのはマルコに憧れを抱くからだろう。私ではなれない姿だから、叶えてほしいと思った。そしてそれはあと少しで実現するはずだったのに、マルコは呆気なく死んだ。

「何であんたが死んで私が生きてるの」

風に煽られて火花が舞い上がる。物言わぬ肉塊は全てが灰になってしまった。どれがマルコだったかもわからない。そもそも、彼がここにいたかどうかさえも私にはわからない。それでも語りかけずにはいられなかった。

マルコみたいな真っ直ぐなやつが早死にして、私みたいにひん曲がったやつほど生き残る。そんな風に出来ているこの世界は残酷なのか、それとも上手く成り立っているのか。いくら考えても答えはでなかった。

















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お題、is様より
「朝にならないひかり」使用





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