「名前よ。知っておるか?」

「なんでございましょう」

「宣教師から聞いたんじゃが、牛の乳を飲むと背が伸びるらしいぞ」

これはもう私のせいだと思い、額が畳にのめり込むんほどの勢いで土下座した。いきなりすぎる私の行動にさすがの政宗様もビビっている。

「申し訳ございません!!」

「何じゃ!!何故いきなり謝る!?」

「まさかそのようなことを実行するつもりでおられたとは………乳飲み子でもありませんのに!!」

なんかもう泣きたい。実際目に涙が溜まり始めている。

政宗様がここまで思い詰めたのは私の責任だ。我が一門は先祖代々男も女も皆、背丈が高い。例に洩れず私もそうであり、下手すると殿方より高い時がある。そして主である政宗様は現在成長期真っ只中………率直に言ってしまえば私より背が低い。といっても、殆ど大差はなくほんの僅かなのだけど、政宗様はそれが気に食わないらしい。

「馬鹿が!!本気にするでない!!」

「政宗様ならやりかねないかと思いまして」

「するわけなかろう!!」

しつこく、何度も否定するので一先ず安心する。だが新たな問題が発生した。ここまで大袈裟に反応されると思ってなかったらしく、政宗様は機嫌を損ねてしまった。

「あの、政宗様?」

「何じゃ」

不機嫌さが声音から滲み出ております。うーん、これはどうしたものか。なんとか機嫌を治そうと試みる。

「失礼いたします」

政宗様の手を取ると掌と掌を合わせた。政宗様の手のほうが大きく、指先が飛び出している。ごつごつとした角張った感触に政宗も立派な殿方なんだな、と思った。

「手が大きい方は背が高くなると聞いたことがあります。政宗様もこれからですよ」

「これからでは遅いわ」

政宗様は指と指を絡めて手を引き、私を腕の中に納めた。上半身崩れた格好で抱きしめられる。というより頭を抱え込まれた。がっちりと固定されているので逞しい胸板に頬を寄せる形になる。殿方らしい身体つきを直に感じてドキドキしてしまう。

「惚れた女子より背が低くては面子が立たん」

深々とした溜め息をつむじに吹き掛けられる。それほど気にしなくてもいいと思うのですが。だって、私より背が低くても私は政宗様をお慕いしておるのですから………そう言ったら怒られるでしょうか。





恋は盲目
(世の法則なり)










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2では174cmあったはずですが、この話の政宗様はそれほど背が伸びていないという設定で(ご都合主義)

個人的には無双の政宗は小さいほうがいいと思ってます。3はわからないのですが、無印から2にかけてすごい勢いで成長しましたね、彼。成長期か。

余談ですが長政様と身長がまったく同じであることに笑いました←



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