何の変哲もないごく普通の日。清正と私とおねね様でお茶を片手に談笑していた。そんな時、おねね様がふと溢された。

「清正」

「何ですかおねね様」

「あたしはいつになったら清正と名前の子を見れるんだい?」

「ぶふっ!!」

まさかの発言に飲んでいたお茶が気管に入って噎せ返る。そんな私の背を何やってんだ馬鹿、と言いながら清正が擦ってくれた。いや、だっておかしいでしょう。普通に秀吉様(浮気)の愚痴や三成や正則のこと話したりしてたのに、どうしてそんな話題になったの。

「おねね様は俺達の子が見たいのですか」

「今のところ期待出来るのは清正と名前ぐらいでしょう?早く二人の子が見たいね、って常々お前さまと言ってるんだよ」

「あの、勝手に期待されましても…」

困ります、とは流石に言えない。急展開においてけぼりをくらう私とは違い、もう一人の当事者は妙に冷静だ。天井の一点を見つめて何やら考え込んでいる。

「清正…?」

「おねね様」

「何だい清正」

「男児と女児どちらがいいですか」

ボドッ、コロコロ。落とした湯飲みが転がる。幸い、中身は飲みきっていたので大事には至らなかった。いや、問題はそこじゃない。てっきり気が早すぎますよおねね様、とかそんなことを言うと思ってたのに何を真面目に返してるんだこの男は!!清正の問いにおねね様は沢山いたほうがいいよ、と答えた。初めて豊臣家意味わかんないって思った。

「お待ちください、おねね様」

「なぁに?」

「清正のところへ嫁いでもいないのに先に子を成すのはいかがな物かと思います」

盛り上がっている(のはおねね様だけか)(だって清正は眉一つ動かさないもの)二人を止めにはいる。一番大事なことを忘れてますよね。私と清正は恋仲であるが夫婦ではない。輿入れもしてないのにややが出来たとあっては父上が卒倒される。

「だったらすぐにでも輿入れしちゃいなさい。清正も名前が妻になったら嬉しいでしょう?」

「そうですね」

はい、これで解決。と、ばかりにおねね様は柏手を一つ打った。もうどう反応したらいいかわからなくてポカンとするしかない。同意している馬鹿に関しては本心でそう言ってるのか、それともおねね様が言ったからかわからないので黙殺しとく。

「そういうわけで清正。早めにお願いね」

「わかりました。よし、名前行くぞ」

「はい!?」

困惑する私を他所に清正は私の腕を掴んで無理矢理立たせるとそのまま部屋から出る。頑張ってね!!と、おねね様の声援が聞こえた。混乱したまま清正についていく………何処に行くのかと思えば方向からして清正の部屋のようだ。

「あの、清正さん。薄々感づいてますが…何をするおつもりで?」

「子作り」

やっぱり!!えええ、何を…今はまだ昼だから!!てか、久方ぶりの休みなんだから疲れることしないでゆっくり休みなさいよ!!

踏み止まろうと足に力を込めるが、清正は止まらない。力任せに引きずるから足の裏が摩擦を起こして熱い。嗚呼、男女の差が恨めしい!!

「いやいやいや!!いくらおねね様が期待してるからってそんな!!」

「おねね様だけじゃなく秀吉様まで期待してくださってるんだ。応えなければいけないだろう」

「人に言われたから子作りとか普通にない!!」

「言われたからじゃない」

「はぁ!?」

「惚れた女との間に、子が欲しいと思って何が悪い。それに名前を妻にしたいのも俺の望みだ。今すぐにでもな」

歩みを止めて振り向いた清正が真面目な顔でそんなことを言うから不覚にもときめいた。好いた人からそんなことを言われれば嬉しくないわけがない。そりゃ、私だって将来的にはごにょごにょ、と思ってはいるけど、あれだ。

「だったら輿入れを先にして!!物事には順序ってもんがあるでしょう!!」

「往生際が悪い」

「ひょわ!?」

清正は私を俵のように抱えた。抵抗がなくなったため淀みなく歩く。これはヤバい!!必死になって清正の背中をベシベシ叩くがびくともしなくて、そうこうしているうちに部屋に着いてしまった。清正は足で襖を開けると私を放り投げる。ドスンと派手に着地し、強かにお尻を打った。頭にきて文句を言ってやろうと口を開くと同時に清正が後ろ手で襖が閉じる。出入口には清正、逃げ場がない。

「名前…」

「えええ!?」

急いで立ち上がろとしたけど時遅し。清正が覆い被さってきた。手と手、足と足が絡まり身動きがとれなくなる。熱っぽい視線に、声に、囚われる。

「諦めろよ」

待って、ちょっと落ち着いて!!せめて布団を、ってこら!!どこに手を突っ込んでるの!!清正、本当に待ってよ、ちょ、あ………



暗転。





その日、私は一日中部屋から出れませんでした…。










「真面目な人ほど一度枷が外れると収拾つかなくなるもんですよ。弾けてしまわれるのでしょうなぁ。ま、悪気はないのであまり怒らないでやってください。というわけで名前殿。どんまい☆」

「災難だと思って忘れろ」

「あれだ名前!!清正も溜まってたんだ!!」

「お前ら全員黙れ」






(てか、三人は何で知ってるの)










--------------------
これは誰なんでしょうね(真顔)いや、私の中の清正は硬派でクールなはずなんですけど!!マザコンをこじらせたみたいになってしまいました。ご、ごめん清正………。











〜その後〜



「おねね様に言われて一月もしないうちに輿入れって行動が早すぎない」

「前々からせっつかれていたからな。それともお前は俺の妻になるのが嫌か?」

「いえいえ。あまりにも早い展開についていけてないだけです」

「そうか…ふふっ」

「何笑ってるの」

「いや、お前が俺の妻になったことが嬉しくてどうしようもないんだ」

「さ…さらりとそういうこを言わないで!!あと、私も清正の妻になれて嬉しいです!!」

「俺も名前の夫になれて嬉しいよ」



清正のキャラが迷子だよ!!



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -