私たちにとって生をうけた日などたいした意味はないない。だけど、産まれてきたことを祝う心が吸血鬼にあってもおかしくはないだろう。

「お前が部屋から出てくるなんて珍しいこと」

「俺がどこにいようが俺の勝手だろうが」

生意気な口だ。ダイニングテーブルに対面で座っているスバルは漂う甘い匂いが不快なのか、眉間に皺を刻んでいる。勝手にキッチンに来たのはお前だろうが。今焼いている紅茶のシフォンケーキは言ってないけど、お前のためのケーキだぞ。

誕生日を忘れているの、それとも思い出さないようにしているのか。話題には出さないので私も言わない。どうしようかな。細やかながらお祝いするつもりでいた。しかしだ、他の兄弟達は興味がない程度だが、スバルは誕生日を嫌っている節がある。子供の頃からスバルを見てきたから、スバルにも色々あったのをわかっているつもりだ。スバルの様子を観察する。腕を組んで明後日方向を向いてる顔に不自然さはない。

「なに見てんだよ」

「ケーキ食べるかなって」

「甘ったるくなきゃ食う」

「控えめにしてあるよ」

なんせお前に食べさせるつもりだったんだから。もうそろそろ焼き上がる頃合いだから、ホイップクリームを作るためにキッチンに立つとスバルも隣に並んだ。泡立てるのを物珍しそうに眺めている。そんな見てても面白くないだろうに。

「シフォンケーキって生クリームいるのか…?」

「ショートケーキみたいに塗るんじゃないくて添えるだけだ。飲み物は紅茶じゃなくてコーヒーにしよう。砂糖とミルクはいらないだろ?」

「………」

「ごめん、嘘。好きに入れていいからそんな顔しないの」

スバルは甘すぎると食べられないが、苦いのもダメらしい。なかなかわがままだな。このままだと普通に飲んで食べて終わりそうだけど、それでいいのかも。そんなに難しく考えなくてややこしくすることはないだろう。ただのお茶会でも楽しめればそれでいいし、もしも言えたら言おう。例え伝えなかったとしても祝福したい気持ちはちゃんとあるから。



お誕生日おめでとうスバル。





なんでもない日おめでとう









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叔母さんとスバル君らしい誕生日になりました。スバル君お誕生日おめでとう!!スバル君がどんな思いで毎年誕生日をむかえてるのかと思うとなかなかup出来ずにいました。大遅刻ですが、up出来てよかった。私は君が生まれてきてくれて嬉しいです。お誕生日おめでとう。



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