HAPPY BIRTHDAY !!




真っ黒な表装に金糸で題名があしらわている。所々に補修された跡があり、年代を感じさせた。紙質も現代にはないもので多少黄ばんではいるが保存状態は良い。

「本物だ…」

「偽物だと思ったわけ?」

「いや、まさか本物を拝めるとは思ってなかったからつい」

実物が手元にあることに感動しているとシュウは大袈裟だろうと呆れている。あの本が読みたいとポロっと溢したことがあるが、シュウは覚えていたらしい。学校の図書館にあったのを持ってきてくれた。あのシュウが私のためにしてくれたというだけで驚きだ。しかもこの本はかなりの貴重品でさらには初版本。シュウは雑に扱っていたが本来だったら博物館にあってもいいレベルの物だ。というか何故、高校の図書館にこんな物が置いてあるんだ。

「ま、あんたにしてはなかなかいい趣味だな。俺も読んだけど、興味深かった。特に…」

「ちょ、ま、言うな」

すでに読破しているらしいシュウが感想を言い始めた。慌てて口を塞ごうとしたが避けられたので自分の耳を塞ぐ。当たり前だが何も聞こえないので、シュウの唇の動きを追っていると口を閉ざしたので手を放す。シュウは胡乱げな目をしていた。

「何やってんのあんた」

「シュウがネタバレしようとするから…とにかく、ありがとう」

「どーいたしましてー」

うわ、すごくどうでもよさそうなどういたしまして、だ。シュウは寝る体勢になったので私は早速本を読もうとページを開いた。すごくテンションが上がる。良い誕生日プレゼント貰っ………あれ?

「誕生日プレゼントっていうから私物にするもりでいたけど…これ学校の物なんだから返却しないと駄目じゃない?」

「別に本の一冊や二冊ぐらい貰ってもいいだろう」

「どう考えても駄目だろう!!」

「じゃ、名前が読むんだから名前が返せよ」

「まさかのセルフサービス!!」

ついでに迎えに来い、って…そっちが目的だろう!!






長男から叔母さんへ



本。






最終的に叔母さんは持ち出し禁止の本を無断で持ち出したシュウさんの代わりに怒られます(笑)









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