※if 公式ヒロイン(小森ユイ)と出会ったら。



私が帰省している間に新しい花嫁候補がきたらしい。なんでも、人間にしては血が美味しく三つ子は興味津々なんだとか。ぜひともその血を使って甥っ子達をメロメロにして叔母離れさせてくれ。

「チチナシのやつ何処にいやがる。手ぇかけさせやがって」

器用にフェンスの上に立っているアヤトは悪態を吐いている。屋上にいるのは私とアヤトだけだ。真夜中というのに、見下ろした先の大きな建物に明かりが灯り、複数の人間の気配を感じる。これが学校というものか。なかなか興味深いが、こうも広いと目的の人物がどこにいるかわからない。ここに来た意味を失いつつある。

どんな人物かと少し楽しみにしながら屋敷へ戻ったが生憎、花嫁殿は学校に行っていなかった。肩透かしくらった気分だ。ま、急ぐこともないか、と帰ってくるまで待つつもりでいた。なのに、サボって家にいたアヤトにちょろっと、新しい花嫁殿はどんな人?と、尋ねたら、実際見てみればいいだろう、と無理矢理学校に連れて来られた。何でそんなにノリノリなんだ。気にならないと言え嘘になるが、わざわざ会いに行くほどではないのに。

「どうするつもりだ」

「匂い辿れば一発で見つかんだろ」

「なら、早くしてくれ」

教室にはいなかったので取り敢えずは屋上に落ち着いた。何処にいるかわからないが、花嫁殿はとても美味しそうな匂いがするので、それを頼りに探すらしい。なら、最初からそうしろよ。アヤトの行き当たりばったりな行動にはほとほと呆れる。

「言われなくてもするっつーの、ってナイスタイミング。おい、あっちの廊下を歩いてるピンクの頭のやつがチチナシだ」

アヤトが指差すが金網越しだとよく見えない。ジャンプし、フェンスの上に降り立つ。せっかくここまで来たんだから顔ぐらい見ていくか。目を凝らす。女子生徒数名が固まって歩いているが、ピンクと目立つ髪色なのですぐにわかった。あの子、か、………―――

不規則に動く心臓が激しく鼓動を打つ。一瞬、思考が真っ白になった。なんで、そこにあるんだ。落ち着こうと深呼吸するが、あまり効果はない。からからに渇いた口を開く。

「アヤト、あれは誰だ」

「ああ?だから、今度うちに来た居候って言っただろうが」

質問の意図がわからないのか、怪訝そうな表情をしている。違う、私はそんな答えを聞きたいんじゃない。何故気づかないんだ。

制服を着た少女には年相応の愛らしさがある。間違っても毒々しい美しさはない。見た目はまったく違うけど、私にはわかる。血が、心臓が如実に語っているのだ。

友人達と楽しそうに会話をする彼女の背後に、艶やかに笑む女の影を見る―――――そんなところで何をしてるの、姉さん。





Death is inevitable.
(貴方はあの日に死んだのに)









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続かない。そして出会ってない。ユイちゃんとどう絡ませたらいいかわからないので本編にユイちゃんが出てくる予定はありません。ただ、叔母さんはユイちゃんの心臓に気づくと思います。姉妹だし。

姉(コーデリア)と妹(夢主)のギスギスした絡みが書きたいです。



お題、Amaranth様より
「Death is inevitable.(死は不可避である)」使用



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