息苦しさを感じて目覚めれば眠る前と変わらない高い天井と豪華なシャンデリアが映った。うっ。何これ、呼吸しにくい。しかも起き上がろうとしても身体がいうことをきかない。これが俗に言う金縛りか。それにしても何かが変だ。お腹のあたりが特に重い。唯一自由に動く首に力を入れ、現状確認をする。

「何してんの逆巻シュウ」

角度的に頭部しか見えないがこのふわふわな金髪は一人しかいない。シュウが人の上に乗って惰眠を貪っている。大方、自室に行きつく前に力尽きたのだろう。適当に入った部屋―――リビングのソファーに倒れこんで私を下敷きにした…ようだ。私がいることに気づかないシュウもシュウだが、シュウが乗っかった瞬間に起きない私もおかしい。

「起きてよ。ねぇ起きてってば」

「ん…」

辛抱強く呼びかけると目が覚めたようだ。唸りながらぞもぞしていたが急に顔を上げた。きょとんとしている。

「何してんだあんた」

「なんで私が何かしたことになってんの。シュウが寝てる私の上に乗ったんでしょう」

「あーなるほど。やけにプニプニしてると思ったら肉布団だったってわけか」

人を下敷きにした挙句に肉布団呼ばわりとか…殴りたい、思いっきり殴りたい。しかし腕が使えないので殴れない。

「本当腹立つ…」

「前から思ってたんだけどあんたって体温高いな」

「何急に。熱いなら離れればいいじゃん」

「今日は寒いし、俺は体温低いからこのままでいい」

温かい、とシュウが呟いた。確かに、シュウの体温は低い。夏でもひんやりしてるし、冬になると氷のように冷たくなる。逆に私は年中温いからシュウにはちょうどいいのかも。だからといって湯たんぽになるつもりはないけど。

「自室に行って布団にくるまったほうがいいんじゃ、ぐえっ」

人が話している途中だというのにシュウが這いずり上がってきた。肘が鳩尾にのめり込んで変な声が出る。

「人の上を移動すんな、ってちょっと!?」

いきなり胸に顔を埋めてきたので吸血されるのかと焦ったが、シュウは心臓がある位置に耳を押し当ててきた。そのまま喋らなくなったのでつられて私も黙る。鼓動が少し早くなった気がする。

「名前」

「…何」

「何もしねぇから大人しくしてろ」

言うだけ言うと寝る体制に入った。え、シュウが起きるまでこのまま?そろそろ退いてもらおうと思ってたのに。あー拒否したところで離してはもらえないか。でもこの状態は辛い。

どうしようか迷っているうちに寝息が聞こえてきた。まだ1分も経っていないのに…お前はの○太君か。こうなれば私の意思なんて関係ない、シュウが自然に起きるまで待たなければ。あああ、わかったよ。どうせ身動き取れないんだから昼寝の続きしてやる。半ば開き直って目を瞑ればすぐに睡魔が訪れた。一応言っておこう。

「シュウ…おやすみ…」

布越しに感じる低めの体温が存外心地よかった。





冷え性なきみ










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予定では(…)続きます。シュウさんって体温低そうという香月の妄想から成り立っています。だからカーディガン大好き(^ω^)しかし、公式で体温高めとかなったらどうしよう←



お題、 リライト様より
「冷え性なきみへ」使用



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