※ゲーム発売前に書いたので予約特典の「夜の!体育祭★開催」と矛盾した内容になっています。
図書室には極力近寄らないようにしていた。数えきれないほどの本で溢れているそこは、活字が苦手な俺にとって居心地が悪い場所だから。そんなとこに押し込まれたもんだからテンションは急降下、机に上半身を預けてだらけていた。真向かいに座った名前――ここに連れてきた張本人――は教科書や参考書を積み重ねていく。ああウゼェ。
「ほらアヤト。テスト勉強しよう」
「しねぇよ。すんなら勝手にしろ」
「授業あんまり出てないでしょう?課題だって未提出だし。これでテストで赤点とったら留年になるよ」
「だからどうした。んなことなったやめてやるよ」
「あっそう。わかった」
簡単に諦めた名前は出したばかりの道具を仕舞い始めた。何だ?引き際よすぎねぇか?まぁこいつは強引に事をすすめるタイプではないけど。それにしてもあっさりしすぎてる。
「やけに引き際がいいじゃねぇか。どういう風の吹き回しだ?」
「やる気がないのに無理にさせても頭に入らないよ。ただ、後々困るのはアヤトだと思う」
「あ?」
「やめるのは無理よ。アヤトのお父さんが許さないでしょう。実際にシュウさんは留年してるし」
「………」
「来年からスバル君と同学年だね。おめでとう」
まるでもう留年が決まったかのような言い草だ。スバルと一緒だぁ?ふざけんなよ。俺はシュウと違ってプライドがあるんだ。弟と同じ学年なんて耐えられるか。
帰ろうか、と立ち上がった名前の腕を掴む。じっーと見下ろしてくる名前を無理やり座らせた。あまり表情が変わらないが僅かに勝ち誇ったような顔をしている。
「勉強教えろ」
「嫌なんじゃないの」
「あいつになんやかんや言われるのもダルいしスバルと同学年なんて死んでもごめんだ」
「ちゃんとやる?」
「やるからさっさとしろ」
「わかった」
名前は素早く勉強道具を準備するとテスト範囲の確認をしている。なーんかうまい具合に言いくるめられた気がするぜ。
認めたくないが、俺は名前の言うことはわりと素直にきく。だからといって、言いなりになっているわけではない。俺の意見を押し通してあっちが折れることもままある。つか、そっちのほうが多い。今回だって同じことをレイジあたりに言われてたら完全に拒否していた。名前だから、って部分が大きい。この俺様が他人に従うなんてな。あーだんだん腹立たしくなってきやがった。
「おい。終わったら血吸わせろ」
「え」
「したくもないことを強られてるんだから当然だろ」
「アヤトのためにやるんでしょう」
「うるせぇ。なんなら今すぐに吸ってやろうか?」
名前が顔を顰める。ここで断ったら勉強しなくなる(出来なくなる)と判断したのか渋々ながら了承する。何でもかんでも思い通りになると思うな、バーカ。
「ただし真面目にやってよね。はい、これ解いてみて」
「げっ。いきなり数学かよ」
「苦手なのは時間かけてやらないと。わからないとこがあったらちゃんと教えるから頑張ろうね」
「わぁったよ」
ごちゃごちゃした数式にやる気が削がれる。めんどくせぇがお楽しみが待ってんだからさっさと終わらせるか。軽くため息を吐いてから問題を片すためにシャーペンを握った。
放課後の三文劇
(私、アヤトと違う学年なんて嫌だからね)(…おう)
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アヤト書いてないので急遽書いてみたらドSがどこかにいきました(´_ゝ`)
アヤトの性格を熟知している夢主に上手い具合に操られてる(?)アヤトです。案外いい関係なのではないかと。
お題、レイラの初恋様より
「放課後の三文劇」使用
「アヤト」
「何だよ」
「現国わかんないってどうやって教えればいいの」
「俺に聞くな。お前が考えろ」
「困ったね」
「頑張れよ」
「アヤトがね」