「ああ、来てたの。ちょうど良かったわ。あんた夜会が嫌いだったわね?なら出なくてもいいからこの子達の面倒みてくれない?今日はカールと踊る予定なの!!邪魔されたくないのよぉ。お願い。え、いいの?さすがあたしの妹!!頼んだわよ」
出迎えもそこそこに…というか、出迎えてもらってない。姉さんは軽やかな足取りでホールへ行ってしまった。義兄さんと踊れるからあんなに機嫌がいいのか。てか、私、何も言っていないのに。
義理の兄さんに招かれて夜会に出席することになったが、姉さんに子守りを押し付けられた。目線を落とすとくりくりした眼が6つ、興味津津といった様子でこちらを見上げている。初めて会う子供、もとい甥っ子が三人だ。確か三つ子だったはず。
「お前誰だ」
「初めまして。お前達の叔母の名前だ」
「オバ…?」
「叔母だ、叔母。お前達の母さんの妹だよ」
「えー!!ちょっと待った!!」
三つ子は距離を取ると輪を作って話しあいを始めた。
「母さんに妹がいるなんて聞いてねぇぞ」
「母様、あまり話したがらないから」
「でも、妹がいるなんて初耳だよ。いくらなんでもおかしくない?」
「まさかニセモノか?」
「母様と普通に話していたのに?」
「術でも使ったんじゃねぇの」
「なるほどー。僕達があまりにも可愛いから誘拐しようとしている変態なのかも」
「違げぇよ!!あれだ、ミノシロキンモクテキだ!!」
勝手に話しを作るな。三つ子の発言に内心でツッコミをいれた。ああでもないこうでもないと子供会議は長引く。めんどくさいな。そもそも、私はやるなんて言ってない。まぁ、夜会に出なくていいのはラッキーだったけど…子供は苦手だ。しかも姉さんの子だろう?姉さんのことそんなに好きじゃないからなぁ。その子供達とも関わりたくない。しっかりしてそうだし、ほっといてもいいみたいだ。
「私はあまり好かれてないみたいだからどこかに行くよ。大人しくしてるんだぞ。じゃあ」
「「「待ってよ!!」」」
庭の散策でもしようと思い、背を向けたら三方向を囲まれた。乗り越えるわけにも蹴飛ばすわけにもいかず、足を引っ込める。
「な、何だ急に」
「お前、母さんに俺達の面倒みるように言われただろう!!」
「サボったって母様に言いつけますよ」
「ぼく達の母さんは怒ったら怖いよー」
お前達の母さんが怖いのはよく知ってるよ…これはあれだ。脅されてる。さっきまでこいつ怪しい!!って、言ってたのに。変わり身の早さに目が点になる。
「疑いは晴れたの?」
「母様と同じにおいがします」
「匂い?」
「うん、におい。さすがににおいまでは真似出来ないでしょう?」
そんなこと言われても。手首を嗅いでみるがよくわからない。姉妹って匂いも似るのか?顔はまったく似てないけど。
「姉さんの妹って証明されたのはいいけど…別に私がいなくても問題ないだろう」
「よくねぇよ。三人だけじゃつまんないからお前で遊ぶんだ」
「新しいオモチャですね」
「今度のオモチャはいつまでもつかな」
「だ…誰がオモチャだ!!」
「お前だよ」
間髪入れずに言い返された。この歳にしてこのドS発言…軽く戦慄を覚える。さすが義兄さんと姉さんの子と言うべきか。
「チクられたくなかったらオモチャになれよ」
三人揃ってあくどい顔をして脅してくる。オモチャ呼ばわりされるのは屈辱的だが、告げ口されたら困るので付き合うしかない。溜め息を吐いて三つ子を見回す。で、何。面倒みるってどうすればいいの。見てればいいの?
「なにすればいいの」
「だから遊べって言ってんだろ。物分かりわりぃな」
「…なにして遊ぶ?」
「追いかけっこだ!!」
「パズルしようよ!!」
「絵本読んでください!!」
見事に意見が別れた。誰も譲る気がないようで三つ子は睨み合う。
「追いかけっこだ!!」
「パズルだよ!!」
「絵本です!!」
喧嘩勃発、何故か私も巻き込まれる。右手を赤毛の子が、左手を外跳ねの子がそれぞれ引っ張り、姉さんと同じ髪色をした子はテディベアを押し付けてくる。痛いから引っ張るな!!あとクマどけて!!前が見えない!!百歩譲って一緒に遊ぶとしても何して遊ぶかちゃんと決めろよ!!
「追いかけっこだろう!!あの捕まるか捕まらないかのスリルが楽しい!!」
「パズル作りかけじゃん!!完成させようよ!!」
「追いかけっこもパズルもこの前やったよ!!たがら今日は絵本を読むの!!」
「喧嘩するな!!」
場を収めようにも言うことをきかず、むしろ過熱していく。終いには一人泣き出した………こんなことなら夜会に出たほうがマシだったかもしれない。
甥×3と叔母の出会い
(そういえば名前聞いてない)
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調子に乗って書いちゃったよ!!しかし何故か過去編。本格的にシリーズ化するなら夢主の性格練り直す必要がありますね。半分勢いで書いたようなものだし←