この季節、冬はある意味俺にとって天敵だ。元から低体温だってのに外気も相俟って身体は冷える一方だし、外で昼寝が出来ない。後者はまだしも前者は洒落にならない。死にそうになる。冬なんてなきゃいいのに、と冬がくる度に思っている。
目覚めると太陽は傾き、薄暗くなっていた。自室は暖房をつけっぱなしにしているから快適だ。このまま眠っていたいが、今日は平日だから学校がある。一昨日からずっと無断欠席しているし、そろそろレイジに小言を言われそうなので登校することにした。ベットから降りて身支度を整える。制服に着替えるのさえダルいのにコートを着て、マフラー巻いて、手袋をはめて…という作業がすこぶるめんどくさかったから省いて廊下に出たら冷気に包まれて思わず固まった。動きを止めたら余計寒くなるが、動くのはダルい。嫌なループに陥る。もういいや、サボろう。レイジなんか知らねぇ。
「おはようシュウ。って何部屋に逆戻りしようとしてんの。しかも何でそんな薄着なの」
部屋に戻ろうとしたら通りがかった名前に捕まった。うるさくなる、とげんなりしていたら案の定、騒ぎだした。
「どうせあまりの寒さにサボろうとしたんでしょう」
「…なんでわかる」
「あんたの場合はそれぐらいしか理由がないでしょう。そんな格好してるからよ。仕方ないなぁ」
名前は勝手に俺の部屋に入ると防寒具を持って出てきた。手出してー、しゃがんでー、と甲斐甲斐しく世話を焼く。されるがままになっていると子供みたい、と揶揄してきたので一睨みして黙らせた。調子にのるなよ。
名前によってフル装備が完成した。俺とは正反対に名前は薄手のコート1枚羽織ってるだけだ。
「寒くないわけ?」
「いや、全然」
即答してくるあたり本当に平気なようだ。名前を引っ張って腕の中に納める。制服やコート越しだというのに熱が伝わってくる。指先まで温かい。毎回思うがどうなってんだこいつの身体は。
「温かい…」
「いつも言ってるけど私は湯たんぽじゃない」
「こんなうるさい湯たんぽあってたまるか」
「いやなら放しなさいよ」
やれやれ、と言わんばかりに溜め息を吐かれる。慣れたらしく最近は抱き締めても大人しい。これで口を開かなければいい湯たんぽになるのに。
名前を抱き込んだままでいるとポカポカしてきたが、もう少し温かくなりたい。どうにかならないか、と視線をさ迷わせれば名前の唇が目についた。そういえばここも結構…。
「シュウくーん。もうそろそろいいんじゃない?学校遅れますよー」
「………」
「ちょっと、シュウ?…うむっ!?」
抱きしめたまま口を塞いだ。思った通り、そこは熱かったけど、もっと欲しくなってにゅる、と舌を差し込む。口内を掻き回して逃げ惑う舌を絡めとる。空いた手で太股をなぞると嬌声が漏れた。びくびくと跳ねる身体が熱を帯びていくので俺の身体も温まる。
温かくなったので名前を放せば壁に凭れかかって必死に酸素を取り込んでいる。瞳は潤んで顔は真っ赤だ。掌で頬を包むといつもより熱かった。
「あんたの体温はどこまで上昇するわけ?」
「し、知らないっ、ていうか、いきなりなにすんのよ!!」
「寒かったから仕方がないだろう」
「寒いからって何しても許されると思うな変態!!!」
「変態言うな変態」
「なんで私が変態になるのよ!?」
「うるさい。あーまた寒くなってきた」
喋ってる間に冷えてしまったのでもう一度あの熱を堪能しようと顎に手をかけたらビンタされた。いてぇ。
高温少女と低温少年
(本当、じゃじゃ馬な湯たんぽ…)
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冬が!!終わらないうちに!!うp!!似たようなネタだけど、一応「冷え性〜」とは違う設定です。続編でもなんら問題ないけどね!!