それなりに高級なバニラアイスを、ドS兄弟達に虐められてもめげずに頑張っている自分へのご褒美に買ってきてダイニングで食べていた。至福の一時になる予定だった。
ねっとりと絡み付くような視線にアイスを運ぶ手が鈍くなる。横目で確認すると頬杖ついたライトが私を見つめている。無視しようとしたけど、無視しきれなくなった。
「何してるのライト」
「名前ちゃん見てるの」
「…楽しい?」
「興奮するよ」
どこらへんに興奮しているのかさっぱりわからない。ライトの脳みそはありとあらゆることを興奮へ変換するよう出来ているんじゃないだろうか。
「気になるからやめてほしいんだけど」
「嫌」
いつもの間延びした言い方ではなく、はっきりきっぱり言い切った。しかも速答だ。なんか腹立つ。
「んーどうしてもって言うなら、名前ちゃんの食べかけのアイスをくれたらいいよ」
「嫌」
さっきのお返しとばかりにばっさり切り捨てる。私が私のために奮発して買ってきたアイスを、ユイちゃんならまだしも、どうしてライトに分けなきゃいけないんだ。食べかけ、の部分を強調している時点でアウトだが。
絶対あげない、とガラスの器を遠ざけてもライトは笑っているので眉間に力が入る。何がそんなに楽しいんだろう。
「無駄な抵抗して可愛いねー。まぁ、勝手にもらうからいいけど」
「はっ?」
そこからは早業だった。椅子ごと動かして向かい合わせにすると私から器を奪い、人差し指と中指でアイスを掬って…
「んぐっ!?」
口の中に突っ込んできた。熱で溶けるアイスを指に絡ませ、舌に擦り付ける。散々舌を嬲ってからグルリと指を回転させて上顎を撫で始める。
「飲みきれなかった白濁した液が口から流れ落ちてきたよ。いやらしいなぁ名前ちゃんは」
バニラアイスのせいで白っぽくなった唾液が溢れたのだが、ライトの言い回しのせいで卑猥に聞こえる。それはそれは愉しそうなライトにいいように遊ばれて、解放された頃には酸素不足に陥っていた。
「げほっ、げほっ!!ライト、はぁ、何すんの!?」
「言ったでしょう?勝手に貰うよ、って。それじゃいただきまぁす」
パクっ、と唾液塗れになった指を含んだ。真っ赤な舌を使って丹念にしゃぶっている。何が起きたかわからない、というかわかりたくなくて思考回路は停止。私が止めないのをいいことに舐め回している。
「んんー。名前ちゃんの味がするアイス、とーっても美味しい」
熱の籠った瞳を細め、うっとりとしている。背筋がぞわっ、となった。うわぁぁぁ、もうダメだ、この変態には付き合いきれない。椅子から立ち上がって後退る。ライトも立ち上がって離れた分の距離を縮めた。
「こっちこないで!!本当何なの!?鳥肌たつほど気持ち悪い!!変態!!!」
「………」
「な、なんで黙るの…?」
「罵られるのも快感!いいよ、もっと罵倒して!!」
「SなのMなのどっちなの!?ていうか、アイス返してよ!!」
アイスの存在を思い出して取り返すが、液体化して食べれたもんじゃない。私のアイス…と落胆していると再び器を取り上げられた。しげしげと眺めてから一言。
「アイス使うのもいいねぇ。んふ」
何の話しだよ。
よこしまなめでわたしをみないで
(何って…アイスプ(聞きたくない!!)
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ライト(^p^)
お詫びで書いたのにお詫びになっていない!!(爆)どうでしょう。気持ち悪くしたつもりですが、まだまだ甘いですね。公式の足元にも及ばない!!残念!!←
お題、レイラの初恋様より
「よこしまなめでぼくをみないで」使用