逆巻家の屋敷は広いため廊下も長い。だから端と端にいると誰だか見分けがつかなくなるが、背が高いし髪色が白銀だから向こう側にいるのがスバル君だってすぐにわかった。そのスバル君は猛スピードでこちらに向かってくる。声をかけようとしたらスバル君が勢いそのままに突進してくる。ぎょっ、として後ろに下がるけど背中は壁について逃げ場を失った。私の目前まで迫ったスバル君は腕を振り上げる。

バコッ

壁がスバル君の拳によって陥没した。腰が抜けてズルズルとへたりこむ。見上げれば眉を吊り上げいかにも怒ってます、といった風なスバル君が。私、何かしたっけ…?

「どうして俺が怒ってるかわかるか?」

「すぐには思いつかないです…」

「そうか。なら、1分だけ時間をくれてやる。そのない頭使って考え…ろっ!!」

今度は頭上を蹴られた。パラパラとコンクリートの欠片が降ってくる。恐怖で真っ白になりそうだがわからなかったら本気で殺られるので必死に考える。しかし、どんなに考えても心当たりがない。スバル君の気に障るようなことはしてない…はず。無意識のうちに何か仕出かしたとか?だとしたら最悪じゃないか。ああ、なんだって言うんだ!!

焦れば焦るほどわからなくなる。そしてタイムリミットが近づくにつれ、スバル君の額に青筋が増えていく………1分なんてあっという間でした。

「タイムオーバーだが、わかんねぇみたいだな」

「ごめんなさい」

「それは何にたいしての謝罪だ?」

「わからないことにたいしての謝罪です」

「素直だな。まぁいい。教えてやる。お前、アヤトに血を吸われただろう?」

言われて思い出す。そういえばアヤト君の目の前で指を切って、流れた血を舐められた。吸血されそうだったけど隙をついて逃げ出したからそれ以上は何もされてない。スバル君はどこでそれを…多分、アヤト君本人が言ったんだろう。何したいんだあの人。

「でもそれって吸われたわけじゃないし、ちょこっと舐められただけだよ」

「だから、それが気にくわねぇんだよ」

憤怒に染まる恐ろしい顔が近寄ってくる。しかし、怒っていようが美形は美形。綺麗な顔が間近にあってどぎまぎする。

「お前は髪の毛1本から爪先、血の1滴まで俺の物だって言い聞かせてるよなぁ?それをアヤトなんかに吸血されやがって。それとも俺に酷いことされたくてわざとやってんのか。お前は痛いのが好きだもんな………にしても腹が立つ。くそっ、アヤトの野郎ぶっ殺す」

アヤト〜のくだり、物凄くどすがきいていた。仮にもお兄ちゃんをぶっ殺すとかそんな。いや、逆巻家ではこれが通常運転か。

逆巻兄弟の恐ろしさを再認識しているとスバル君に押し倒された。シャツの釦を引きちぎって首筋を曝け出す。先程までお怒りだったスバル君は、今や楽し気な表情をしている。これはヤバい。待って、と制止をかけるも意味がなかった。

「お望み通りお仕置きしてやる。覚悟しろよ」

間髪入れずに噛まれた。最初に襲ったのは強烈な痛み、牙が食い込むにつれて快感も押し寄せてくる。痛いのか気持ちいいのかわけがわからない。怖くなってスバル君にしがみつけば抱き締めてくれた。

「ん…スバル、君」

「んんっ、んっ、お前は俺の物だ。誰にも渡さねぇ。いいな?」

「うん、うん…!!」

痛みと快感が支配する頭でぼんやりと思う。スバル君、嫉妬してくれたのかな。





フルムーンブラックナイト
(嬉しい、とか思っちゃう時点でもうダメかもしれない)









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ついに手を出しちゃったよ!!(うちのサイトでは)需要がないね!!一応notユイちゃんなんですが…注意書きしたほうがいいんでしょうかね?



お題、誰そ彼様より
「フルムーン・ブラックナイト」使用











(つかぬことをお伺いしますがもしかして嫉妬したりし…餌の分際で生意気なこと言ってすみません!!!ぐふっ。ど、どうしたのスバル君。急に抱き締めてくるなんて。苦しいよ。え?いいからお前も抱き締めろ、って?………スバル君可愛い、いえ!!何も言ってません!!てか、今更だけどここ廊下だからせめて場所移動、ってうわぁぁぁ!!!なんでこのタイミングでアヤト君が現れるかな!!スバル君、殺気飛ばさないで!!アヤト君はこっちに来ないでぇぇぇ!!)




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