今夜は満月、吸血鬼の吸血衝動が強まる日だ。本能が理性を凌駕し、欲を満たすために血を貪る。今回も無茶苦茶にされると思っていた。

「「………」」

スバル君の牙は私の身体に刺さっていない。両手で頬を挟んだまま、キスする一歩手前状態で止まってる。顔を逸らそう物なら怒られるので目線はスバル君に釘付けだ。

「スバル君どうしたの」

勇気を振り絞って声をかたのに返事はない。ふとスバル君の視線が外れて何かを見つめた後また私に戻ってきた。スバル君の視線は私の背後に向けられていた。今は窓に押し付けられているから、きっと窓の外を、満月を見たのだろう。

「お前は月みたいだな」

「月?」

「瞳は金色で髪色は黒だから月を思い出す。闇夜に浮かぶ月だ」

口を開いたかと思ったら詩人みたいなことを言った。月みたい、なんて言われたの初めてだ。スバル君は時々ロマンチックになる。

「私はお月様みたいに綺麗じゃないと思うな」

「はっ?何言ってんだ…お前は綺麗だよ」

うっとりと吐息混じりに囁かれた。そんなこと言われると恥ずかしくなる。照れているのに気づいたのか、スバル君はうっすら笑んだ。いつもは顰め面で俺に近づくなオーラを放っているのに、今は表情も雰囲気も柔らかい。こんなスバル君を知っているのはきっと私だけだ。

「夜空の月は俺たち吸血鬼の力をもってしても届かねぇし触れられもしねぇ」

「うん」

「でもお前は、俺の月はすぐ傍にある」

左手が腰に周り身体が密着する。重なる唇は熱を孕んでいた。

「ふっ、ん、ぁ…」

「んっ…」

角度を変えては繰り返されるキスに苦しくなって胸板を叩くと濡れた音を立てて離れる。乱れた呼吸を整えていると背中を撫でてくれた。怒ると恐いし乱暴だけど、本当は優しいから好き。

名前、と呼ばれて顔を上げれば、再び距離が縮まる。目を瞑ると瞼に唇を落とされた。

「傍にいろよ」

いるよ、と言えばスバル君は嬉しそうに笑った。月が微笑みあう私達を照らしている。





傍らに月


俺だけの月











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個人CDの詩人(笑)スバル君を目指しました。ゲームでもいい感じに甘いセリフ言ってましたね。そんなスバル君が大好きだ!!



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