「ただいまー!!」

「平助!!怪我してない!?」

「開口一発目がそれ!?もっと言うこと他にないの!!」

「おかえりなさ!!で、怪我は!?」

「ないっつーの。この通りピンピンしてますけど?」

「ならいいんだけど」

「名前は心配性だなー。俺がヘマすると思ってんの?」

「うん」

「おい!!」

「今のは冗談だけど。捕り物は特に危険だからつい心配になっちゃうんだよ」

「大丈夫だって。俺、強いからさ」

「過信しないの。何が起きるかわからないんだから」

「わかってる。こんな泣き虫置いてけないだろう?」

「………ねぇ、平助。お願いだから、」





生きて帰ってきてね。





意識を失いそうになる程の痛みに襲われる。のたうち回りたいぐらい辛いのにそれを上回るのは死にたくないという思いだった。死を恐れたことはない、いつだってそれなりの覚悟は出来ていた。だから、何処で果てても悔いはなかった………はずなのに、いざそれを目の前にすると恐怖でいっぱいになった。

死にたくない、まだ、生きていたい。俺は生きたい!!

「(名前…)」

屯所に置いてきた彼女のことを思い出す。あぁ、そうだ。俺、死ねないじゃん。あいつのことだ。一人にしたらずっと泣くんだ。平助と哀しそうに俺を呼ぶ名前の声が聞こえてきそうで…嫌だ、名前を泣かせたくない。今だってもう、充分なぐらい悲しい思いをさせているというのに。これ以上は悲しませたくないよ。俺はあいつにはずっと笑ってて欲しい。だって俺が好きなのは名前の笑顔なんだから。

うっすらと目を開ける。視界がぼやけるせいで俺の身体を支えているのが誰かわからない。縋るようにその人に向かって声を振り絞った。



「おち、水…の、ませて」






名前に逢いたい





願った罪の生まれたこの日を生涯忘れることなどないのだろうきっと










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お題、選択式御題様より
「願った罪の生まれたこの日を生涯忘れることなどないのだろう きっと」使用



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