よっす。元気に毎日過ごしてるか?10年後の俺。ま、俺のことだから風邪一つ引かずに過ごしてんだろうな。

ところで、10年後の俺は何してる?プロ野球に入団してメジャーに行ってたりするか?もしくはマフィアになってイタリアに渡ってたりするのかな。この二つのどっちかだと思ってる。

未来の俺ならわかると思うが、高校二年生の俺は迷ってる。マフィアごっこは本気だったってわかったし、ツナはボスになる覚悟を決めたから出来れば俺はダチの力になってやりたい。だけど、大好きな野球を続けたい。自分の実力がプロに行っても通用するか試してみたいって気持ちもあるんだ。我が儘だよな。

それにさ、名前のこと。特にマフィアになったら………名前と離れるなんて耐えられないさ。けど、最初のうちは自分の身を守るだけで精一杯だと思うから、名前を守れるかわからない。それに危険なことに巻き込みたくはないんだ。

あー駄目だな。慣れないことをするから頭がパンクしそうだ。しかもこんなの俺らしくない。未来の俺もこんな風に悩んで悩んで、悩み抜いて決断したんだろうな。なぁ、アンタの選んだ道は幸せか?ぜひとも意見を聞きたいとこだがそうもいかないよな。結局は今の俺が決めなきゃいけないんだから。

あ、そうそう。未来について考えたら今の何気なく過ごしている時間が本当に貴重なんだって気付いた。これって実はすごいことなんじゃないかな。時が流れればどうしても変わっちまうものもあるだろう?でも、変わらないものがあると思うんだ。それは俺の名前への想いだ。自信あるんだよ。この先、何年経とうがずっと名前を好きでいる自信がさ。未来の俺の隣にあいつはいるよな?離れないようちゃんと捕まえといてくれよ。

やっぱどう考えてもこれから先のことなんてわからないし、歩んで行く道の途中で俯く日もあるだろう。だけど、どんな未来になろうとも愛する人と大切な仲間を守れるように俺は強くなるよ。










半年ぶりに実家に帰ってきて押し入れの中を漁ってたら手紙を見つけた。あの頃の、等身大の山本武がそこにいた。

「武、終わった?って、ちらかしっぱなしじゃん」

「おう」

「今まで何してたの?」

段ボールを抱えた名前が入口から顔を覗かせる。散らかってる部屋に盛大に顔をし顰めた。整理してたはいいが懐かしい物を発見してついつい見入っちまった。よくある光景だ。

それにしても、さすが昔の俺。バッチリ当たってる。現在進行形で名前にベタ惚れだしあの頃とまったく変わらないメンバーとつるんでる。野球だってプロ入りこそしなかったものの、休日の度に近所のぼうず捕まえてはキャッチボールしている。今の生活に不満はない。俺は俺の望んだ未来を手に入れたと思ってる。

「何て書いてあった?」

「俺は昔から名前を愛してるってこと」

「え」

照れて顔を真っ赤にする名前を見ながら、手紙に書いてある問いに心の中で答えた。



なぁ、10年前の俺。10年後の俺は仲間と愛する人に囲まれてとても幸せだよ。





10年前の俺へ
(だから、何も恐れずに自分の信じた道を歩けよ)











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