BSR/孫市


※捏造満載
※死ネタ



涙と鼻水と汗に塗れた顔に笑みが浮かんでいた。無理に笑っているせいで酷く歪だった。どうしたことだろう。あまり笑わない私と違って彼女はよく笑う子で、自然に笑えるはずなのに今日は下手くそだ。

「わた、私、自分が死ぬより、サヤカが死んじゃう、ほうが、いやなの」

ガタガタと震える手で銃口を己のこめかみに押し当てている。まるで現実味がなくて、夢でも見ているようだ。それに何故だか身体も動かなくて、阿呆みたいに突っ立ったまま、彼女を見つめていた。

次期孫市を決めるために同じ年頃の子を集めて技を競わせ、ふるいにかける。選ばれた子を現在の孫市が次期頭領にするため育てるのが里のしきたりだ。私達が知っているのはそこまでで、具体的にどうやって決めるかは知らなかった。まさか、一人を選ぶために殺しあいをさせるなんて夢にも思っていなかった。森の中を駆け巡って殺しあいをした結果、最後に残ったのは私と彼女だった。

彼女はどこか抜けていて、甘ったれで優しくて…銃の腕は一級品だったが、性格は雑賀集に向いていなかった。私と彼女は正反対な性格だったが、不思議と馬があって行動を共にすることが多かった。命がけの訓練や目まぐるしく変わる情勢。気の抜けない日々の中でも彼女と居るときだけは心穏やかにいられた。

私は彼女が好きだった。ずっと親友でいたかった。

「サヤカ、大好き」

泣き笑いのまま人差し指を引き金にかけた。瞬間、固まっていた身体が自由になる。咄嗟に腕を伸ばすが遅かった。





「やめっ、 !!!」









そうか。生き残ったのはお前か、サヤカ。










「おい、サヤカ!!」

「やめろその名を呼ぶな」

「何を今更。ずっとサヤカって呼んでんだろう」

「夢見が悪かったんだ」

「はぁ?」

「今日だけでいいからその名で呼んでくれるな」

「あ?………あー…わかったよ孫市」





この道をいく子供へ





なんだか、あみみたいな話しになりました。孫一姐さんはサヤカという名前と共にいろんな物を捨て去った気がします。



お題、デスペラード様より「この道をいく子供へ」使用


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