五年ろ組と

「どうしたのさ、ハチ。難しい顔して」
「ん…?雷蔵、三郎。……いや、実は先輩に関してある噂を聞いたんだけどな」
「噂?先輩の?」
「うん、実は……」

「実は?」
「勿体つけずに早く言えよ」
「いいのか、三郎?」
「は?」
「これは事と次第によってはお前にも十分に影響するんだぞ?」
「……私にも?」

「ああ、実は……先輩は元々生物委員であられたんだ!」
「……は?そんなわけないだろう!先輩はずっと学級委員じゃないか」
「でも聞いたんだぜ?」
「またくだらない噂を仕入れたもんだな」
「ちょっと三郎もハチもそう興奮しないの!あ、ほらちょうど先輩がこっちに来るよ。聞いてみようよ。せんぱーい!」
「え、ちょっと雷蔵さん!?」
「俺たち心の準備が!」

「何の準備だって?ハチ」
「や、じ、実は先輩にお聞きしたい事がありまして……」
「私に?構わないけど…三郎」
「はい!?」
「何で視線を逸らすの」
「何となくです」

「…へー…。で?何だい?」
「実は、先輩が昔生物委員だったって噂が……」
「ん?ああ。そうだよ。噂っていうか事実」
「え!」
「本当ですか!?」

「…何でそんなに驚くのさ」
「いや、先輩はずっと学級委員長だって印象があるので……」
「まあ、お前たちが入学してからはずっとそうだけど。一年の夏休みまでは生物委員だったんだよ」
「じゃ、じゃあ下手してれば先輩は今頃生物委員会委員長だったかもしれないってこと…ですか?」
「おいこら三郎!下手したらって何だよそれ!」
「煩いハチ!今私は先輩に訊いているんだ!」

「あーはいはい。喧嘩しない。……でもまあ、そうだなあ。そのまま生物委員だったらそうなってたかもねえ。って何だいお前たち、何でそんなに泣きそうなの。え、今の話のどこにそんな要素が?」
「先輩が生物委員だったら俺の先輩だったのに!……と惜しむハチと、先輩が学級委員長になってくださってほんっとに良かった!……と安堵する三郎の図、というところでしょうか」
「……解説ありがとう、雷蔵」
「いえいえ」
「ちょ、雷蔵ずるい!一人だけ先輩に撫でてもらうなんて!」
「先輩!俺も!」
「待て!お前たちその顔で抱きついてくるな!こら三郎、私の制服で鼻を拭くな。八左、お前は先に顔を洗ってきなさい!」



(六ろ学級委員長に関する某噂話)



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