高坂と

「陣左兄。はいこれ」
「何だ?手紙?」
「タソガレドキの諸葛孔明さんから」

「……何だって?」
「タソガレドキの諸葛孔明」
「誰だそれ」
「知らない?縁談と言う名の知略戦においてはほぼ負けなしと評判の自称諸葛孔明さん」
「自称って!…というか何だよ、縁談と言う名の知略戦て」

「まあ縁談の世話役さんみたいな人なんだけどね。未婚の男女をあるところに我あり!とか私に作れぬ縁組はなし!とか言っておられる某上役様の奥方なんだけどね」
「そ、そんな御方が……」
「結構有名だよ。知らなかった?…まあいいんだけど。その人からの手紙。父様が預かったらしいんだけど渡しておいてって。陣左兄のお見合いの話じゃない?」

「見合い!?俺の?」
「だってあの人が相手で陣左兄ってそんな用件くらいしか…」
「というかそもそも組頭は何でお前を通すんだ?御自分で渡してもよさそうじゃないのか?」
「いやー…それはねえ?」
「……何だそのとてつもなく微ッッッ妙な笑顔は」
「いやあ。はっはっはっは」
「……おい?」
「あーまあほら、父様も渡し辛かったんじゃないかなーと。汲み取ってよ色々!」
「色々?」

「そう色々。……自分が逃げたからお鉢が回ってきたんだなーとか」
「……おい、今小声で何か言わなかったか?」
「え?何にも?」
「胡散臭い笑顔で誤魔化そうとするな!…昔はもっと素直だったくせに」
「そっちこそ大概失礼だな!…でも陣左兄が結婚かー」
「話が飛躍しすぎだろう。見合いの話と決まった訳でもなし。そうだったとしても、俺が受けるかは別だろう?」

「え、そうなの?いい年なのに?」
「あのなあ…。いい年っつーなら俺より独り身の先輩方がまだ残ってるぞ」
「えー将来有望視されてるうちのが可愛いお嫁さん来そうじゃないかな。でもまあそっかー。まだ結婚しないのか…」
「…何だよ」

「え、まだもうちょっとは、私の兄上なんだなーと思っただけ」
「……この卑怯者め」
「は!?何!何で私今そんな悪口言われてんの!?」
「褒め言葉だ」
「いや意味わからないんですけど」

(こうして兄馬鹿は出来上がっていく)

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