潮江と

(ある日の潮江と蓮咲寺)

「ねえねえ文ちゃん」
「!?な、何だ!?」

「いやそんなに動揺されるとむしろこっちがびっくりだよ。ところでさ文ちゃん」
「文ちゃん言うな!大体なんだ、いきなり文ちゃんて!…と言うか普通に話を続けんのかよお前…」
「忙しないなー突っ込み点はひとつに絞った方がすっきりするよ?」
「お前がそれを言うか!?」
「もーそんなに叫ばなくっても聞こえるって」
「そりゃお前は長次の小声に慣れてるからだろ」
「長次の小声に慣れてるって、六年も一緒にいれば皆そんなもんでしょーよ。お前も慣れてるじゃないさ」

「まあそりゃそうだな。…っていや違うだろ。話がずれてるだろ」
「あーはいはい。戻せばいいんでしょ。えーと。…で、何だっけ?」
「…俺に聞くのかよ。知らんぞ」
「清々しく言い切ったね」
「いや、普通に考えて知ってるはずねえだろ…」
「まあそうだけどさ。あ。思い出した」
「あ?何だよ」

「文ちゃんさー」
「いやもうそれいいだろ。何だよ文ちゃんて」
「え?気分?小平太も言ってるじゃないさ」
「……。……で、何だって?」
「諦めた?だよねー、人間諦めが肝心だよねー」
「…………」
「そろばん弾いて精神統一しないでよ。突っ込んでよそこはさ」
「面倒くせえよ!何だよお前は!酔っ払いか!」

「ひっどいなあ、仙ちゃんがいなくて寂しかろうと思って来たのに」
「仙蔵がいなくて寂しがる俺とか気持ち悪いだけだろ…。つか寂しいのはお前だろむしろ。どうせ小平太も長次もいなくて暇なんだろ」
「あっはっはっはっは。うんその通り!」
「明るく言い切るな!このろ組が!」
「どういう意味だ、い組」
「そのままだ」
「えー?あ、そうだ饅頭食べる?」
「……お前、何やかんやでまさにろ組だよな」
「尊くんとかには父様そっくりとか言われるけど。…え、何その愕然とした顔」

[ 12/22 ]

[] []
[しおりを挟む]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -