組頭と

「トリック・オア・トリートですよー」
「んー?なーに?南蛮の祭かい」
「そんな感じです。お菓子くれなきゃいたずらするぞーって。だから父様、お菓子下さい」

「お菓子?残念だけど今何にも持ってないなあ」
「あれ、そうですか」
「兵糧丸はあるけど」
「……いりません。美味しくないし」
「じゃあ飢渇丸は?」
「たいして変わらないじゃないですか。ていうかそれをもらうのは何かむしろいたずらされてる感じなんですけど」

「えー?じゃあ、とりっくおあとりーと」
「へ?」
「お菓子もらえなきゃいたずらしていいんだろう?」
「そ、そうですが…何でいい笑顔で兵糧丸出してるんですか!」
「大丈夫だって、ちゃんと私お手製だから変なものも入ってないよ。…味はともかく」
「いや今小声で味はともかくとか言いませんでした?ちょ、ま…。……ッ!」

「ほら最近疲れてるみたいだしさ、栄養取った方がいいよ」
「…………栄養たっぷりみたいな味はしましたけどッ」
「愛情もたっぷり入れといたからねー。……何も泣かなくてもいいじゃないか。あー…ごめんごめん、父様が悪かったよ。ほらこれあげるから」
「……金平糖、ですか?」
「うん、渡来物。おいしい?」
「おいしいです…」

「ごめんね?」
「…愛情たっぷりなんでしょう?」
「ん?うん。それはもう」
「…じゃあいいです。許してあげます」
「はは、ありがとう」

(2011ハロウィンその3)

[ 7/22 ]

[] []
[しおりを挟む]

×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -