五年生と

「「「「「とりっくおあとりーと!」」」」」」
「……は?」

「……先輩、視線が冷たすぎて何か心がえぐられそうなんですが」
「珍しく被害妄想すごいね、ハチ。ていうかそう感じるって自分たちでも(あれ、俺たち何してんだろ…)とかちょっと思ってるってことじゃないかい」
「そ、それは…」
「え、ほんとに思ってたの…?だ、大丈夫だよ、似合ってるよその狼」
「ち、違いますよ!それはハチの言葉のあや的なものです。学園きっての変装名人の名において至って私たちは真剣です!」
「うん、三郎落ち着こうか。変装名人て最早お前の固有名詞みたいなもんだからね。私たちって表現はちょっと可笑しいからね。それだと五年まとめて変装名人!みたいなことになるからね」

「ほらやっぱりこの仮装が問題なんだって!だから俺が言ったじゃないか、ここは五年のシンボル豆腐を使用しようって」
「……兵助」
「はい、先輩なんですか?」
「その吸血鬼のかっこでいいから、君はそれでいいから!似合ってるから!だからそういうことを真顔で言わないであげて。三郎の心が何か地味にえぐれるから」
「大丈夫ですよ先輩。仮装しようって言い出したのは三郎ですから」
「だろうとは思ってたけどさ。んで、毎度のことだけど、やっぱり君たちはお揃いなんだね」
「あれ、変ですか?」

「いや…似合ってる…気もするんだけど何でかぼちゃ被ってるの?そういう魔物いたっけ?」
「え、だって三郎がかぼちゃ祭だからかぼちゃ役もいるんじゃないだろうかって…」
「かぼちゃ祭って…。要するにハロウィンでしょうよ。あ、雷蔵大丈夫だよ。確かかぼちゃのランタン…提灯使ったりするから、かぼちゃもきっと間違いじゃないからそんなに考え込まなくっても」
「さすがですね先輩!南蛮の祭にも通じておられるなんて」
「あー…うん、ありがとう勘右衛門。でもこれでそんな尊敬の視線を向けられると、さすがに私もちょっと居たたまれないかな…」

「似合いませんか?」
「寧ろ似合ってて目のやり場に困る。何魔女っ子か?魔女っ子なのか!」
「まあせっかくなんでちょっと気合入れて女装してみましたー」
「うん、可愛い可愛い」
「お菓子をくれなきゃいたずらしますよ先輩」
「はいはい。これあげる」
「わー…無造作かつ何かぞんざいですね…」

「そんなことないよー。これ私のとっておきだから」
「何ですか?限定煎餅…?」
「……うま辛タソガレ風味……?」
「…要するに唐辛子味なんですか?」
「いや、砂糖醤油味。いらない?」

「「「「「へー…いただきます…」」」」」

(2011ハロウィンその1)

[ 5/22 ]

[] []
[しおりを挟む]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -