天楽

今わたしがどこにいるのかわかる?何と、あの忍たまの世界なの!

忍たまの夢小説が大好きで、毎日毎日こんな世界に行けたらいいなって神様にお願いしていたの。そしたら、ある日突然、気付いたときには何にもない空間にいて、神様っていう人からどこでも好きなところにいかせてやるなんて言われたの!
迷うわけないでしょ?

神様が何か条件があるって言ってたけど、そんなの些細なことよね。だって忍たまのみんなに会えるんだもの。もちろん、逆ハー補整はちゃんとつけてもらったし登場方法だってリクエスト通り!空から落ちてきたわたしを六年の留三郎くんが受け止めてくれちゃったの。食堂のお姉さんてポジションだってゲットしたよー。ほら、完璧じゃない?
まあ最初はちょっと警戒されてたみたいだけど、今じゃすっごく優しくしてくれるし、四年生の子たちも「唯歌さん唯歌さん」てすっごく可愛い。くのいち教室の子たちがたまにすっごい目で睨んでくるけど、六年生たちが守ってくれるから全然大丈夫だしね。やっぱりあんな子たちよりわたしの方が間違いなく愛されてるし?

まあ大好きな五年生とあんまりおしゃべりできないのが不満だけど、きっと六年生に遠慮してるだけだよね。早く『彼』と話したいなあ。楽しみだなあ。

あ、でもひとつ気になることがあるのよね。蓮咲寺朔、だっけ?あの子何なの?
小平太が「朔!」って呼びかけた時から何となく気に入らなかったの。だって、その瞬間みんなわたしじゃなくてあの子を見ていたんだもの。わたしがいるのに!
それに、何で女なのに忍たまなの?男装ヒロインのつもりなの?皆に聞いたら条件までは教えてくれなかったけど、特例なんだって。そんな存在おかしいよね?

だってわたしは天女様なのに。愛されるためにここに来たのに。あんな可愛くもないし綺麗でもないし、似合ってもいない男装なんかしちゃってる子がいるなんておかしいよね?
……おかしいんだから、いない方が正しいよね?
わたしが主人公なんだから。ね、そうでしょう?


(わたしの物語に、あなたはいらないの)


(20110414)

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