二日目。


観察日誌当番なので、授業が終わってから蓮咲寺先輩を探しに行きました。庄左ヱ門に訊いたら、「今日は委員会は休みだよ」と言っていたのでどこにいるんだろう。
ぼくには全然予想がつきません。

とりあえずうろうろしてみたら、同じ火薬委員会の久々知兵助先輩に会いました。久々知先輩に蓮咲寺先輩を見ませんでしたかと訊いたら、「何だ、先輩を探しているのか?じゃあ一緒に探してあげるよ」と言われました。ちょっとだけ先輩に悪いなあと思いましたが、ぼくひとりだと探せないかもしれないので、一緒に探してもらう事にしました。

久々知先輩に「ところで朔先輩に何か用なのか?」に尋ねられた時はどうしようかと思いましたが、とっさに今日のランチについていた冷奴の話をしてみたら、久々知先輩はその話題にあっさり乗っかってくれたので助かりました。でも正直、木綿と絹ごしの違いと魅力について真剣に語られて別の意味でどうしたらいいのかわかりませんでした。久々知先輩は成績優秀だし、火薬委員会では委員長代理も務められている頼りになる先輩ですが、時々ぼくは戸惑います(主に接し方について)。誰かアドバイスを下さい。

それでぼくら(というか久々知先輩がだけど)豆腐談議に花を咲かせていると、いつの間にか夕方でした。久々知先輩の豆腐の話を聞きながら蓮咲寺先輩を見つけられなかったなあと思っていると、いきなり先輩が話をやめて振り返りました。何だろうと思ってぼくもそちらを見たけど、別になんにもありませんでした。
でも先輩はそのまま遠くを見つめながら「……朔先輩」と呟くので、まさかと思っていたら本当にそっちから蓮咲寺先輩がやって来ました。

先輩はぼくたちに気付くと「委員会かい」と声を掛けてくれました。蓮咲寺先輩を観察する為に探していたんです、だなんて言えないよなあとぼくが悩んでいると、久々知先輩が勢い良く「いえ、豆腐友の会の活動です!」と言い切っていました。豆腐友の会って何だろう…。というかぼくはいつの間に会員になったんだろう。どうでもいいですが、その時の久々知先輩は輝いていました。

蓮咲寺先輩は少しびっくりしていたようですが、何故か久々知先輩に負けないほどの笑顔で「いいね!豆腐!」と頷いていました。先輩もお豆腐好きなんですかと訊いたら「うん、好きだよー」と笑いながら頭を撫でられました。くすぐったかったけど、何だか嬉しかったです。久々知先輩はそんなぼくらを凝視していました。どうしたんですかと訊いたら「い、いやなんでも!」とすごい勢いで首を振られました。蓮咲寺先輩は苦笑していましたがぼくにはよくわかりませんでした。それから三人で、また豆腐の話をしました。


蓮咲寺先輩は豆腐が好きだそうです。あと、現在豆腐友の会会員は三人です。


伊助


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