家族のすゝめ

プロローグ

久々に集まろうと言い出したのは誰であったか。
魔王を倒したあの日よりうんと年月が過ぎた今日、文字通り空を海を世界中を共に旅した仲間達とソルティコのとあるレストランに集まっていた。

旅が終わった後も定期的に集まっていたが、月日が経てば経つほどそれぞれの人生が動き出し、同時に集まる回数も減っていった。そうした中で、話題も旅の思い出話からそれぞれの家庭の話になっていくのも必然的だった。
それが少し羨ましくなったのはいつ頃だったのか忘れたーーもう、羨ましくないからだ。
一通り料理を食べ終え、あとはデザートを待つのみとなった今、シルビアは順番に話していく皆の話に耳を傾けながら密かに緊張していた。
家庭、家庭の話。少し前の自分には関係のなかった話だ。

「で、息子を見ていて気付いた話なんだけど」

今はイレブンの番である。
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