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「お前(の心臓)が欲しい」から始まった角都の金欠話。
相変わらずほのぼの。



「…何が欲しい」

それは角都が読書をしているときのこと。何の前触れもなく唐突にイタチが言い出した。

「…何を言ってる?」

「だから何か欲しいものはないのかと聞いている」

あぁ、と今更ながら納得した。今日は自分の誕生日ではないか。イタチは祝ってくれるというのだろうか。角都は少し考えてたから言った。

「ならお前が欲しい」

「…!?」

イタチが驚いて黒い瞳を丸くしている。普段表情を出さないイタチにしてはかなり珍しいことである。
それにいつもと感じが違う。

「顔…赤いぞ。大丈夫か?」

「お、お前が変なこと言うからだろ!」

プイとそっぽを向く。
今、暁にいるメンバーで一番幼いイタチだ。子供っぽさは抜けきれていないのだろう。

そんなことを考えていると、ふいにイタチが抱きついてきた。その拍子にソファが二人の体重を受けて深く沈む。ぎゅうっと抱きしめてくるイタチは小さくて、角都の胸にすっぽりと収まる。

先程読んでいた本は既に床に落ちている。それに視線を止めていたが、見上げてこちらを見るイタチにすぐ視線を移した。

「…これでいいか……?」

今度はこちらが驚く番。誕生日の贈り物のつもりなのだろうという考えに辿りつくのに数秒かかった。だがまさかこんなことになろうとは。

「…気に入らないか?」

「いや…そうではないが…」

普段の白い肌と比べ、赤いままの顔。上目遣いにこちらを見る漆黒の瞳は、吸い込まれそうで。自分を抱きしめる細く小さな腕は、両手を容易に片手で掴めるだろう。対照的な自分の腕を、背で束ねられた艶のある黒髪ごと腕で抱きしめ返す。

イタチを抱きしめると、先まで驚いていたことが嘘のように落ち着いた。そうすると、あることに気が付き少し考え込んでから申し訳なさそうに口を開いた。

「オレはお前に贈り物などやってないぞ」

「別にいい。鬼鮫に団子をもらったし」

団子か。そういえばイタチはよく甘味処に行くと鬼鮫が言っていた。団子が好きなのだろう。

「なんなら後で買いに行くか?…少しなら奮発してやろう」

「なら10皿追加な」

ニヤリと笑うイタチの言う意味に悲鳴をあげるのは光景を目の前にしたときであり、今は想像さえしなかった。

「今から行きたい」

角都の上でむくりと起き上がり、嬉しそうに微笑む。角都も小さく息を吐いてから、まあ少しならいいかと起き上がる。

「笠を取ってくる」

かなり楽しみにしているのか、すぐに部屋に入ってしまった。
角都が心臓をもらう意味で言った最初の言葉を思い返しながらアジトへ落ち込みながら帰ってくるのは、これからすぐのことであった。




















か、角都さぁぁぁぁぁん!
すいません、今日気付きました。
え、まさか昨日だったなんて!
私の家のカレンダーにみんなの誕生日書いてますが「今月はフガクパパだけだ」と勝手に決め込んでた…。
もうフガクパパと合同になっちゃうじゃないか!
しかも何だか微妙な…。
角都さんは言葉足らずでちょい天然で子供に甘いんじゃないかという妄想。当サイトではこの設定でいくかも。

2011/8/16

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