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短めの平和な里のほのぼの話。
兄は相変わらずの病伏せ。



「…マジかよ」

いつ広まったのだろう、サスケを一瞬で取り囲んでは「おめでとう」と言ってはサスケにプレゼントを渡して去っていく女達。
ただでさえ兄が大変だっていうのに、こんなところで時間を食うわけにはいかない。
かといって、道端に置いておくわけにもいかず、仕方なく口寄せで鷹を呼び出してプレゼントを運び入れ、家に入る。

「ただいま」

普段の調子で何気なく言えば、嫌な咳の後に掠れた声が聞こえた。

「おかえり」

その言葉を最後まで聞く前に、急いで家に駆け上がり兄の部屋に入る。微笑んでいるが、無理をしているのは明らかだった。
買ってきた体温計で熱を測るが先より高くなっている。

「サスケ散歩しないか」

「…大丈夫じゃないだろ、無理するな」

それでもイタチは行きたいらしく、ふらふらと寝床から立ち上がる。覚束ない足取りで歩く姿は今にも倒れそうだ。それに見てられないと、サスケはイタチの前に背を向けてしゃがんだ。イタチも渋々了承したのか、サスケの背に乗りかかる。


前より軽くなった兄の体を少し不安に思いながら、イタチが言う方向へと歩を進める。
陽も傾きを見せ、昼間よりも涼しくなった気温ならイタチも大丈夫だろうと考えたのだ。

「懐かしいな、昔はオレが背負ってたのに」

「…そうだったな」

追いかけていた兄の背はかなり遠いものだと思い、届かないものとばかり思っていた。
しかし追いついてみれば、自分よりも消えてしまいそうな程に小さく儚いものであった。だからこそ、傍にいないと不安になる。

「そこを上だ」

見上げれば火影岩。一体何があるのかと思えばこの時点で何となく察しがついた。
瞬身であっという間に火影岩の上へ移動する。そこからの景色はかなり良い。賑やかな里の風景を「あん」と書かれた巨大な門まで眼下に見下ろすことができる。

「お前とこの景色が見れて嬉しい」

とても幸せそうに言うイタチを愛しく思う。

(イタチが幸せがオレの幸福だ)

これ以上の贈り物はないとサスケはイタチに頬擦りする。玄関に置いてきた多くのプレゼントよりも今日一番のプレゼントを手に入れた。

「プレゼントありがとな、イタチ」

「…?何のことだ?」

判らないままの本人を余所に夕日で橙に染まる里を見つめた。




















サスケの幸せは兄さんが幸せであることが永遠の方程式だと思いたいです。
というかかなり遅刻…!
ちょっと人生という名の道に迷ったと誰かさんのように言い訳してみたり(笑)

2011/7/25

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