04

「墓なんてどこにもないぞ」

写真で形は覚えているだけでなく、イタチは賢い。このような獣道に墓石を立てられる訳がないことも知っている。だがサスケは聞こえてないかのように、イタチを抱き上げて外へ連れ出す。目眩がするほどの息苦しさは先程の車に乗り込む時に理解していた。

「しんどくなったら力入れろよ」

抱きしめる力を強くしろ、ということだろう。この状態ならそれしか考えられない。
サスケが崖近くまで歩いていく。一体何をするのか、と聞きたいところだが呼吸もまともに出来ない外では口を開くことも難しい。

「ほら、見てみろよ」

おそるおそる目を開いて崖の下を見る。そこにあったものを見た瞬間、イタチはかっと目を見開いた。
そこには遥か遠くではあるが両親の死体があった。このような山奥では誰も気付かないし、入ることもない。何故ならこの山はうちは家の山だからだ。
どういうことかサスケに問う意味でサスケの服を握りしめた。

「何だ、もう苦しくなったのか」

しょうがないとイタチを抱えたまま、先の車へと戻る。違うとサスケに伝えようにも、呼吸が出来ない今、首を振るもサスケは怪しげに笑うだけで全くきいていない。

「サスケ、さっきのはどういうことだ」

車に連れ込まれてすぐにサスケに問い掛ける。サスケは先程のことだというのにケロッとした表情で笑いながら話す。

「父さんと母さんの墓だ」

「墓じゃなくて死体遺棄だ」

「家の本にもそんな言葉あるんだな」

睨めつけるようにサスケを見る瞳は、怒りのようなものと不安と怯えが入り混じっている。
サスケが流れるような長い髪を撫でてやるとギクリと肩を震わせた。これでずっと一緒に居られるのなら両親など居なくて構わない。

「イタチ」

振り向いたと同時に唇を重ねた。口内を蹂躙するかのように激しい口付けにイタチもいつしか喘ぎ声をあげた。
ようやく唇を離したときには糸を引いていた。

呼吸が落ち着かないのか、激しく息をする。サスケはそんなイタチの様子に笑い、きつく抱きしめた。

「いきなり何を…!」

「どうやらこっちの本は読んでないみたいだな。丁度良いからオレが色々教えてやるよ」

車の中で押し倒され、着物の帯を解かれる。イタチの表情からしてやはり無知なのだろう。

「これからが楽しみだな、兄さん」




















かなり終焉が遅くなりました。
結局書きたかったものは雰囲気しか出ていませんが、私は満足してます(笑)
ヤンデレなサスケと外を知らない兄さんのお話。両親殺した理由は様々あるので、また気が向いたらオマケとしてやるかもしれないです。…いつか、ね。

2011/7/16

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