暗部の頃ですがそんなに仲が良いわけじゃないです。どっちかというとカカシ→イタチ。 法律破っているので注意。 イタチは瞳を閉じた。 そうすれば先の任務の辛さを少しでも和らぐからである。そして、そうすることが任務を終えたイタチの習慣になっていた。 帰ってきた自分の故郷。 長らく空けていた愛しい故郷に戻ってくると自然と心が踊る。任務とは正反対の里の状況。イタチが帰ってくる度に気持ちが安らぐのは、この里と弟が作り出している。 青空に染まった空には暗雲の雲は一つもない。これが里の行く末であることを祈りながら、早く弟に会いたいと帰路につく。 だがイタチがそのまま家に帰るのは大分先のことになった。 「いや〜ほんと長期任務お疲れ様」 ニコニコしながら水をそそぐカカシが今のイタチにとっては苛立たしい。サスケに会えるのを楽しみにしていたのに、まさか料亭に連れ込まれるとは予想外だった。 「ありがとうございます。でも別にこんなことしなくても…」 「あ、水ね。はいどうぞ」 「……」 ただニコニコと笑って見ているだけのカカシに小さくため息をつく。こうなったら食べるしかない。人の好意を無下には出来ずに水を口に流す。 それが水ではないと気付いた時には、飲んでしまった後。しかも突然の飲まないという意思に体がついていけず咳込んだ。 「カカシさん…これ、水じゃないです」 落ち着いてきた頃に口を開けば相変わらずニコニコ笑うカカシがいる。その横には先程コップに注いだ瓶が置いてある。ラベルは貼っていないが、味が確かに語っていた。 そんなことがあったのはつい先程のような気がするが、時計の針は遥か先のことだと示している。 今のイタチの状態はというと、隊長と言いがたいものであった。 うなじが見える位束ねられた髪は解けられていて、頭は既に机に置かれた手の上に垂れている。 しかし妖艶さを感じさせるその姿に子供とはいえ、手を出したくなる。普段の朱い瞳はなく、トロンとした眼に自然と笑みがカカシの顔に浮かぶ。 「可愛いね〜ほんと」 弱い体質であることは何となく察しがついていた。だから一度酔わせてみたいなと酔ったヤマトを見て思い立ったのが始まり。 結構味がきついのもあったからか、初めの一口目で顔を赤らめていた。後は自分から飲ませていった結果が今の状態である。 まだまだ子供だな、とニコニコしながら見つめていると熱に浮かされた目で睨まれた。 「え?何?誘ってる?」 「違いますっ!」 怒ったのかいきり立った勢いで「帰ります」とカカシに背を向けて出口へと向かって歩いていく。 がおぼつかない足取りで今にも倒れそうだ。 「見てらんないなぁーほんと」 カカシがひょいと姫抱きにイタチを抱える。いきなりのことに驚いたものの、すぐに抵抗し始める。 「離して下さいっ!」 「や〜だね」 さっきから拒まれてばっかりだなーと思いつつ、抵抗を諸ともせずにそのまま代金を払って料亭を後にする。 「お前をこんな状態にした責任もあるから。このまま帰るでしょ」 「いいですっ!一人で帰れますからっ!」 帰宅することを確認できたので、うちは一族の集落へと向かう。うちはの家紋が点々と見えはじめると、抵抗も強いものになってくる。それが逆にカカシに家を教えているとも知らずに。 「もしかしてあの赤い傘の…」 最後まで言えなかったのは、イタチを降ろしたから。イタチを降ろしたのは、カカシの腕にクナイを突き立てようとしたから。 「そこまでするかなぁ…?」 ヨロヨロと赤い傘の家につく。礼儀正しいイタチはカカシに向かってペコリと頭を下げた。 既に酒気はなく、目もいつもと変わらないものになっている。 カカシは一族についてはよくは知らないが、イタチに手を出したのはまずかったかな、という不安ともう一度やりたいな、と思ってしまう自分もいた。 法律がぁぁぁぁぁぁぁとひやひやしてます。 カカシ先生がなんか可哀想な感じになっていましました(笑) 2011/7/15 ←top |