03 あれから8年が過ぎた。サスケは16になり、イタチは21になった。それでもやはりイタチは外には出られない。その理由は外の空気にあることをサスケは既に知っている。だからイタチの部屋にある窓も勿論、家の窓は頑丈に閉ざされているのだ。 サスケはベッドに腰掛け、部屋で物思いに耽っている。8年経った今でもイタチと外に行きたいという思いは変わっていない。 コンコン、という扉のノック音に短い返事をすると白衣を着た人が終わったことを告げた。 サスケは飛び起きて、帰る挨拶をする医師を無視して医師が出てきた部屋へ向かった。 「イタチ!!」 入ってすぐに名を呼んでベッドへと近づく。ベッドに座っているイタチは弟のいきなりの登場に驚くこともせずに笑顔で迎えた。 「異常はなかったか?」 「あぁ大丈夫だ」 「でも前より少し長かったぜ」 「医師が渡す薬を間違えていてな、探すのに手こずっただけだ」 サスケはイタチを抱きしめた。イタチの言う言葉が真実がどうかは医師の書類を見れば一目瞭然だ。勿論その事はイタチには内密である。 「サスケ、墓参りはどうだった?」 サスケは一瞬目を大きく見開いた。無論抱きしめられているイタチからはサスケのその動揺は見えない。サスケはすぐに冷静になって言葉を返す。 「あぁ、父さんも母さんにちゃんと伝えたぜ。オレもイタチも元気にしてるって」 そうか、と嬉しそうな言葉が返ってくる。イタチは墓参りについてしばしばサスケに問う。自分が行けないから当然のことだ。だから家には仏壇がない。あればイタチがずっとそこに居る気がしてならないからだ。 「サスケ、写真は?」 「悪い、また忘れてた。今度はちゃんと持ってくるから」 まさか墓の写真を撮ってきて欲しいと言うとは思わなかった。こうして躱わすやり取りは何回目だろうか。しかしイタチは文句一つ言わない。それがイタチの優しさと思うと愛しく感じる。だが今のサスケは別の感情に支配されていた。 「イタチ、外に行くか」 「な、何言って…」 イタチが言うより早くサスケはイタチの手を引き、あっという間に玄関の外へと連れ出した。 外に出たことでイタチがくらりとふらつく。サスケがいなければ地に伏してしまっていただろう。そんなイタチを気遣うこともなく、サスケは両親の遺産で雇った使用人が運転する車へとイタチを連れて乗り込んだ。 車の扉を閉めると眉間にしわを寄せながらサスケを見た。まだ辛いのだろう、呼吸が少し荒い。 「…これは…どういう事だ…?」 「何だよ、イタチ。今から墓参りに行くんだよ」 確かに車なら外気に触れることも少ない。自分が外に出られるのは嬉しいことだが、何か自分で考えていたものとは違うような気がした。 しかし違和感を感じながらも、新鮮な景色を見られる楽しみもあった。どれもこれも家の写真で見たことあるものだが、少し違っているものもあったりする。特にサスケから話を聞くだけのものは、見応えがある程かなり大きいものであったりする。一瞬で通り過ぎるそれらの建物を忙しなく目を行ったりきたりさせる。それは山道に入っても同じだった。その山道で車が止まった。 「ほら、父さんと母さんの墓参りだ」 次→ 大分と放置ですいません。 出したかった雰囲気に少しは近付いたかな?な程度で今回はストップです。 近々続き書いて締めくくりにしたいと思います。 2011/7/5 ←top |