02 一通り里を巡った後、サスケは隣の兄を見た。 イタチは最後の団子を口に入れて咀嚼している。それでも視線は里の景色に向いている。正確には里の人なのだが。 サスケでもその理由は分かる。この里で暮らしていた時からそうだった。 みんなとても楽しそうに笑っている。 この笑いをかつては悲鳴と呻きに変えてやろうとした。それ程、皆幸せそうに笑っている。 団子を咀嚼しているイタチはこの笑いを平穏の証とみている。 この話題についてはイタチと何度も話し合った。だからサスケもこの笑いを憎むことはなかった。 イタチ自身が「望んだこと」だと知ったから。 「イタチ、行きたいところがあるんだ」 それでもサスケは里に嫉妬した。せっかくイタチと外に出たというのに、これではまるで里がイタチを誘ったようなものだ。それではサスケは面白くない。 イタチの前よりも細くなった腕を掴み、そのまま引っ張っていく。イタチをもっと笑顔に出来るのは自分しかいない。マダラが言う「サスケの命は里よりも重かった」とはそういう事だろう。 イタチは逆らうことなくサスケに引っ張られたまま。いきなりの事にも関わらず、どこに行くのかも聞いてこない。サスケもまた無言でイタチをその場所へ連れてきた。 「ここは……」 着いた場所は昔修業した森の中。よく覚えているから途中でなんとなく予感はしていた。 「懐かしいだろ、昔よくここに来てたしな」 イタチの手裏剣術を見ている間に危ないから、とよく木の陰にいたサスケが今でも鮮明に思い浮かぶ。 イタチは岩の裏にしゃがみ込んで、地に手をつける。 「…あぁ、よく覚えている」 幸せそうな笑みをサスケに向ける。さっきまでの里を見ていた笑みとはまた違う。やはりイタチを幸せに出来るのは自分だと確信したときだった。 ―嫌な咳が聞こえたのは。 「イタチッ!!」 急いでイタチに駆け寄るが、イタチはその場で踞っている。手を口に宛てがってはいるものの、鮮血が止まることはない。 急いで抱き抱えたものの、今回はとても酷く手や着物は真っ赤に染まっており、イタチも荒い呼吸を繰り返している。 何だか戦ったあの時を彷彿させるその光景にサスケは酷く怯えた。今度こそ居なくなってしまう…そんな気がして。 (とにかく家に連れ帰らねぇと) イタチに負担がかからないようにそっと姫抱きに抱える。 下にあるイタチ見ると、既に意識はなく、先程よりもぐったりしている。抱える力を強めてサスケは家へと向かった。 次→ やっと転です。序盤の。 今日一日で仕上げたけど良い感じ! やはり兄さんにとってサスケが一番だってことはこれからも表記していきます。 でもそれ以上にサスケは兄さんが好きというのがこのサイトの傾向(^O^) ←top |