02

サスケは森の中を歩いていく。
まだ陽は落ちていないとはいえ、森の中では陽光もそれ程意味を成していない。

「リスはどこだろう…」

すばしっこいリスのことだ。居たとしても早々出会えるものではないだろう。それでもイタチに見せるため、サスケは絶対に諦められなかった。


だが。

「見つからない……。」

大分と奥深くまで来たけれどやはり、いない。これ以上先は岩肌がごつごつしていたり、大木ばかりが並ぶまさに原生林の地帯の入口のようである。
サスケも流石にそこまで行く勇気はなかった。この中に入ってしまえば先は闇のように真っ暗でどう道が続いているかなんて分からなかった。

道を引き返す。鬱蒼とした森だがこの辺りは先程の場所に比べれば林のようなものだった。
森から出るといつの間にか空は先の入口の先のように暗かった。
こんなにも空が暗くなるのは早かったかと、急いで家へと向かった。


「サスケ!!どこに行ってたの!!」

急いで帰ってくれば母のミコトがとても心配していたらしく、兄弟が遊んでいた公園と思しき場所で会った。
大方イタチから聞いてあちこち探し回っていたに違いない。

「全く…何考えてるの。こんなに遅くなって」

「…ごめんなさい」

ミコトと共に帰宅すると、フガクはサスケに「あまり遅くなるな」と注意する程度だった。おそらくイタチが宥めたのだろう。「サスケをあまり叱らないで下さい」というように。




「兄さん」

サスケはイタチの部屋をノックした。すぐにカチャと音がして扉が開く。開いた扉の隙間からは、イタチが顔を覗かせている。

「サスケ?」

「兄さん…その、」

先を紡ぐ言葉は、頭に乗せられた手によって遮られた。ゆっくり俯いていた顔を上げるとイタチが微笑を浮かべながら言った。

「話は部屋で聞こう」




イタチの部屋は屋敷の東側に位置する。窓を大きくとられているのは、外に出られないイタチへの配慮であった。部屋は綺麗に整頓されており、それはどこか寂しさを感じさせた。

「すまなかった」

窓にもたれかかったままイタチは呟くように言った。サスケはすぐさま返事を返す。

「別に兄さんが悪いわけじゃないんだから謝らなくていいんだよ」

いつもそうだ。イタチは自分に非がなくとも、責を感じるらしく謝るのだ。相手がサスケならば尚更に。

「…でも兄さんにリスを見せたかった」

「リス?あの小動物か?」

「うん。あ、でも本物だからね!」

イタチは目を瞬せた後にクスリと笑った。

「サスケが見せてくれるものはいつもそうだろう?」

そう言って抱きしめるイタチの温もりがサスケにはとても心地好かった。同時に小恥ずかしくなり、顔を隠すようにイタチの肩に埋める。イタチは気付いていないのか、敢えて気付かないふりをしているのか、サスケの頭を撫でていた。





















兄さんはどこまでもサスケ想い。リスって栗鼠って書くらしいです。栗食べるからか、栗色だからかな…いまいち分からないですが。

2011/6/27

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