6/1 設定は兄さん3歳でサスケは生まれる前です。 途中で切ってないのでかなり長いです。 雨は止むことを知らないかのように降り続く。幼いイタチはその雨を見つめていた。 時々窓に打ち付けては跡を残しながら下へと垂れていく。 まるで泪の跡のようである。 「…今日くらい晴れたっていいのに」 イタチは雨が嫌いなわけではない。雨を見ているととても落ち着く。雨を見て日を過ごすこともあるくらいだった。 ただ今日は特別な日だからだ。 特別な人の、特別な日。 イタチはこの雨が特別な人を悩ませていることを知っていた。 そしてまた特別な人への贈り物を買いに行けない不満もある。 そこまで考えてイタチははっと立ち上がった。何か思いついたのか、白い布を何枚か持ってきて包みはじめた。それを紙縒りで縛る。 「できたっ!」 それを持って縁側へ急ぐ。 だがそれを結ぶには高いところばかりで届かない。 良い場所はないかと辺りを見回してみると、木の枝が視界に入った。あそこなら大丈夫そうだと濡れるのを我慢して木の枝にくくり付けた。 急いで部屋の通路へと戻ったものの、やはりずぶ濡れ。 少しでも移動すれば水滴が小さな水溜まりを作る。移動しなくとも自然に滴下しているのだが。 イタチは何も出来ずその場に立ち尽くす。振り返って縁側の空を見るが晴れる様子は雫もない。 これでは骨折り損ではないか。 ふと部屋に意識が戻る。雨音のよりもに聞き慣れた足音。だんだんと大きくなるその音の方をイタチはぼぅっとした様子で見つめる。 曲がり角から現れたのは母のミコトだった。ミコトはずぶ濡れのイタチにひどく驚いた。 「何してるのよイタチ。ほら早く拭かないと風邪ひくじゃない」 丁度持っていたタオルをイタチの頭に乗せて優しく水滴を払う。イタチはその手つきに心地好さを感じされるがままにいた。 「それで、何してたの?」 ミコトの質問にはっと息を飲んで俯いた。ちらりと横目で縁側を見るがそれでも止む様子はない。 それでも母親に素直に答えた。 「…母さんに贈り物しようと思って」 「え?」 まさかこの雨の中外出したのかと一瞬ひやりとしたが縁側に居たあたり、縁側で何かしていたのだろうと察して安堵する。 イタチは通路から濡れないように空を見上げる。またミコトの手を煩わせることはしたくなかった。イタチは幼年とはいえない程他人に敏感だった。自分よりも他人を優先するその性格故、無理をしているのではないかとミコトでさえ時々心配になる。 「…太陽をあげようと思って」 イタチが指差す先にあるのは木の枝のてるてる坊主。 恭しげに笑うイタチにミコトは微笑み返す。いつの日か買物も行けないし、洗濯物もできないと悪態をついた時があった。イタチはそれを覚えていたらしい。 「今日は母さんの誕生日だから」 いつもそうだった。イタチは自分の誕生日を忘れるくせに人の誕生日は必ず覚えている。 クスリと笑ってミコトはイタチの頭に手を置く。 「ありがとう、イタチ。でも自分の誕生日もちゃんと覚えておくのよ」 イタチがはっと目を丸くした。やっぱり忘れていたなと予想通りの反応に笑みがこぼれる。 しかしイタチの様子がおかしい。不審に思ってイタチと同じように視線を天に向けた。 そこに広がるのはどんよりとした雲。しかしうっすらと晴れ間がその間から覗いている。 今度はミコトが驚く番であった。 「きっとイタチの願いをきいてくれたのね」 「でも今日晴れること願ってたもん」 「あら、イタチが願ってたのは母さんの笑顔じゃないの?」 その言葉にやっと予想通りの反応をしめした。ミコトはイタチと縁側に座る。 「雨があるから晴れがあるのよ。生きていたらそういうことが沢山あるわ」 「つまり…悪いこともあれば良いこともあるってこと?」 「そういうことよ」 あまりはっきりと理解はしてないイタチに微笑みかける。それはこれからのことを予期しているようであった。 とにもかくにも間に合って良かったです。いつも私はカカシ先生なので「遅かったか…」ですよ 翌年の大戦や九尾事件はなんだろう…大戦はアレにしても九尾事件はうちは関わってるよねーサスケ抱っこしてる兄さんが母親にみえてくる…!! 2011/6/1 ←top |