木漏れ日のやさしさ

甘甘ほのぼのな師弟。
設定では暁所属。



ポンと頭の上に乗せられる手。
一瞬は驚いたものの、少しむっとなって言葉で返す。

「子供じゃないです」

その言い方が可笑しかったのか笑いながらくしゃくしゃと髪を撫でられる。はらりと落ちる髪は艶やかな漆黒の色。

うららかな秋晴れの空の下ではそんな光景も微笑ましい。だがそんなやり取りをしているのは同胞を殺した一族二人の師弟。

「こうして日に当たるのも久しぶりだろう」

森林浴だ、といきなり連れてこられたのは森の中。人目につかないとよく森は通るのに何故だろうと思っていれば、木漏れ日が差し込む明るい場所に着く。
深い森ばかり通るいつもと全く別の光景にイタチは茫然となっていた。

「森林浴なんて似合わないですね」

「そうか?たまにはいいだろう」

そういって早々と木にもたれ掛かる。のんびりと休むマダラを見ていると本当に暁の黒幕なのかと疑わしくなる。

「…サスケ」

ふとマダラの口から漏れた言葉にイタチの耳が反応する。マダラを見ているとチラリとこちらをみて笑っている。

「からかわないでください」

「別に。茶化しただけだ」

「一緒じゃないですか」

いつぶりだろうか、こうして話すのは。イタチも鬼鮫と組んでいるし、トビとして行動しなくてはならないから会うこともあまりなかった。
しかしペインに言えばすぐに会うことなど容易だ。だからこうして連れ出してきたわけだが。

イタチを見遣ると木の下に立ってこちらに背を向けて、空を見上げている。
よく空を見るのは今置かれている身を考えているからなのか。
いや、違う。
あいつがいつでも想うのはサスケと里。自分の身などサスケにやるべきことが出来たらそれでいい、その程度にしか考えていない。
そんなこと、分かっている。

「ほんっと馬鹿だな、お前」

「いきなり話し掛けてきて何ですか、その言い方」

分かっている。自分が入り込む隙間などないことを。イタチにはその二つへの思いしかないのだから。


「…っ!!?」

一瞬でイタチの背後に回ってイタチに抱き着く。優しくぎゅうっと抱きしめてくるマダラの行為にイタチは困惑しきっていた。

「本当に読めない人だ…」

「最高の褒め言葉だ」

抱きしめる手にイタチが手を重ねた。























こんな楽しそうな師弟もたまにはいいかと。
もう危険視されてたり黒幕なっている今じゃあ絶対ないですけど。

2011/6/8

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