04

兄貴が風呂に入ってから1時間が経った。もうとっくに飯は冷めている。
兄貴が長風呂なのはいつものことだ。だからいつも先に入るのはオレだった。一人で何もしないでいるとアイツの言葉が蘇るから嫌だ。

「…サスケ」

いつにもなくか細い声だが間違いなく兄貴の声だ。振り返るとそこには風呂から出てきた兄貴がいた。
オレは兄貴の状態に察しがついた。

「寝てただろ」

頷いて少しな、と答える兄貴はゆっくりとオレの隣に腰を落ち着かせた。

「風呂で寝るなって言ってるだろ?風邪でもひいたらどうするんだよ」

「……すまない」

「ったくこれだから兄貴は…。それよりも飯食おうぜ。上がってくるの待ってたからさ。まあとっに冷めちまって…」


―コテン

ん?

突如肩にかかった重み。ちらりと見ると兄貴がオレにもたれかかったまま寝ている。


―ちょっと待て。

どうしたらいいんだ?兄貴を起こすにも疲れているから寝ているわけだし、無理に起こすのは気が引ける。かといってこのままこうしていても風邪ひくし…。
兄貴に目をやる。
寝てたことに気付いて急いで着たのだろうか、胸元が少し開けている。いつも束ねられている絹のような黒髪は今は肩に無造作にかかっている。だからオレにも少しかかるわけで、それがくすぐったい。
風呂上がりだからなのかやけに色っぽい兄貴にゴクリと唾を飲む。別にアイツに言われたからというものじゃないが、こうも兄貴を意識して見たことは今までなかった。
そんな兄貴が無防備にオレの肩にもたれて眠っている。ふとオレの中に沸き上がる感情。心臓が聞こえるんじゃないかと思うほど高鳴る。

恐る恐る兄貴の額に口づける。こんなことしたのは言うまでもなく初めてだ。
やってしまった後に後悔する。跡なんて残してはいないが心に深い跡はついた。
と、兄貴の眉がひくりと動く。まさか、起こしてしまったか?

「サスケ、何するんだ」

とか言われそうで怖い。うっすらと開く瞳に肩を強張らせる。
そして口を開いて吐いた言葉は、

「…すまない、また寝てしまった」

苦笑を漏らす兄貴に茫然する。
あえて触れないでいるのか本当に覚えていないのか。
どちらにしろこのままの気持ちではいけないと気を払って話を振った。

「さっさと飯食おうぜ」

「あぁ、そうだな」

目が冴えたのか兄貴はいつもの調子で微笑む。気のせいか兄貴がいつもより生き生きしているように思えた。






















何が書きたかったかというと兄さんの美しさに苦悶するサスケの話。
サスケ視点は好きです。書きやすい!

2011/6/2

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