03

オレ達が休んだところから依頼人の町はそう遠くはなかった。
だが依頼人を送った帰りに雨が降ってきた。

急遽里に戻って火影室で解散となった。

「急いで戻ってきたとはいえ…ほんとびしょ濡れだわ」

「なあーに、元気だせってばよサクラちゃん!水も滴るいい女っていうじゃねーか!!」

「それを言うならいい男でしょ!でもサスケ君…!!」

なんだかんだ言ってる二人と同様、オレもびしょ濡れだった。
まさかこんなに雨が降るなんて予想してなかった…しかも火影の屋敷から家は遠い。うちはの居住地を片隅に追いやった里はやはり憎い。
だがいくら待っても止みそうにない雨。仕方なくオレは家に帰ることにした。

「じゃあなウスラトンカチ」

「オウ、ずぶ濡れなって風邪でもひきやがれ!」

アイツはここから家は近かったな。なんだ?うちはと九尾を遠ざけるためか?まあそんなことどうでもいいが。





家に帰ったオレはナルトの言う通りずぶ濡れだった。

「お帰りサスケ」

兄貴が玄関まで出迎えてくれた。いつものことだが、今回はタオルを持ってきてくれた。
それだけでなく兄貴はオレの髪を拭き始めた。お節介だが兄貴の手つきが優しいし、何より落ち着く。オレはされるがままでその場に立っていた。

「任務はどうだった?」

「別に大したことなかった。護衛っていう程のもんじゃなかったし」

兄貴はそうかそうかと言って笑う。兄貴の微笑みは見ているこっちまで温かくなる。同時に込み上げてきた恥ずかしさですぐ視線は反らしたが。

「大方乾いたから風邪ひかないうちに早く風呂に入れ」

「あぁ、分かった」





風呂につかって考える。どうやら兄貴はオレが帰る少し前に沸かしていたようだ。
ふと気になったアイツの言葉を思い出す。

「まあまあ。でも好きって気持ちを素直に表現しないと相手には伝わらないわよ。その際、どんなところが好きかも言えるようにしておきなさい」

どんなところ…か。
兄貴の良いところなんていくらでもある。むしろ欠点を探す方が難しいかもしれない。
兄貴の微笑み、優しさ、長い髪に…なんだか思い返しているうちに自分が馬鹿らしくなった。
何考えてんだ、オレ。



風呂から上がると兄貴が飯の支度をしていた。

「先に食べてていいぞ、風呂に入ってくるから」

ニコリと笑って浴室へと向かう背を見る。やっぱり兄貴は髪が長い。いやいやそんなこと考えるな。とにかくオレは兄貴を待つことにした。





















サスケは悶々と考えてます。長いっ!
兄さんについて考えるけど考える自分が恥ずかしくってやめるけどふとしたことでまた考えて…の悪循環(笑)

2011/5/30

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