02 「キスしちゃいなよ」 オレはとっさに離れた。奴も油断していたらしく、肩を掴んでいた力はすでに緩んでいた。 なんてこと言いやがる。オレの兄貴だぞ!?んなことできるわけねーだろ!つーかなんでいきなりキスなんだ!?大体兄にしたいなんて思ったことねぇよ! …なんてコイツに言えるわけもなく。 「誰がするかよ」 全ての思いをこの一言で済ますなんて我ながら上出来だと思った。 「ふーん、やっぱり好きな人のこと考えてたんだ」 「……っ!!」 し、しまった。奴にハメられた。なんて奴だ、最悪だ…。 しかしコイツはオレの肩に手を置いて励ますように言葉を継いだ。 「まあまあ。でも好きって気持ちを素直に表現しないと相手には伝わらないわよ。その際、どんなところが好きかも言えるようにしておきなさい」 別に表現する気なんかねぇよ! ふいに聞こえてきた足音の方に視線を向けると、ナルトとサクラがこっちに向かってきていた。 「お、やっと帰ってきたな」 カカシがすぐ傍にある木から降りてきた。ってまさか… 聞かれてた!?サクラとナルトも戻ってきたから真意を確かめる訳にはいかねぇ。 「じゃーん!大量に捕ってきたぜ!」 「えへへ、ちょっと奮発しちゃった」 「サクラちゃんってば川で地割れおこして魚を陸に「さーて火をおこして早く食べましょ」 先のナルトの言葉は聞かなかったことにして火をおこして食べる。 「そういやサスケは何してたんだ?もしかしてサボりー?」 このウスラトンカチ!なんでこういう時に限って訊くんだよ。 「…護衛だ」 「…ちょっとお話してたのよ」 このウスラトンカチ…!!なんでバラすんだよ!! 「えー!何の話してたんですか?」 サクラまで乗っかるな! すると隣に居たカカシが打ち切るように言った。 「はいはい、みんな食べたならすぐ出発するぞ」 よしナイスだカカシ!全員片付けを始めだしたな。よしよし。 だが隣に居たカカシがそっとオレに近寄ってきた。 「サスケ…」 サンキューカカシ。アンタが居なけりゃオレはナルトやサクラにもバレるところだった。護衛の奴に関していえば誰なのかも知られていたかもしれねぇからな。 「先生はイタチの優しいとこが好きだな」 「………。」 先程の思いは既に単なるオレの願望にすぎないことを悟った。 次→ 必死になってサスケは語るけど全て心の中なんです。 それでも分かっちゃうところはカカシ先生流石上忍という感じ。 2011/5/28 ←top |