01

それは普段と変わらない日常に突如起こった。

いつものように遅刻癖の担当者が言い訳をつくって1時間後にやってきた。
それから始まる下らない任務…かと思えばある女の護衛だという。だがランクは相変わらずのD。
里に近い家に送り届けてほしいという金持ちが無駄に依頼した護衛任務だった。

…下らねぇ。

波の国のように忍に会うかと思いきや戦闘すらない。
こんな任務をやるくらいなら自分で修業した方が強くなれるだろう。
しかも迷惑なことにこの女、やかましいくらいにオレにつっかかってくる。

「ねぇ、さっきから何黙ってるの?だんまり決め込む気!?可愛いー!」

「……。」

一体コイツが何考えてるかなんて知らないが、可愛いってなんだよ。年上から見たらオレたちガキは可愛いもんってことかよ。

「よし、ここで休憩だ。飯にするからナルト、サクラ、お前たちで魚捕ってこい」

「はーい。ナルト行きましょ」

「オウ!!」

ナルトとサクラの川へ向かう背を見送りながらオレはカカシに声をかけた。

「カカシ、オレは何しろって…」

…いねぇ。
おそらくいつもの読書だ。あいつチラチラと本を気にしながら歩いてたからな…くそっ!
大体表紙からして下らなさそうな本読む暇があるなら兄貴を見習って難しい本の一冊や二冊読んでみやがれ。兄貴は一冊二冊程度で済まないんだからな。むしろ兄貴の方が娯楽の本を読むべきだ。そういや兄貴って

「ねぇ今何考えてた?」

そこで思考が停止した。
同時にコイツと待つことがオレの役割と気付いた。少し考えたら判ることだが生憎思考は全く別のことを考えていた。
だがそれをコイツには知られたくない。

「…別に」

「嘘。何だか嬉しそうだったもん」

この依頼人、なかなか鋭い…って嬉しそうなの顔に出てたのかよ!!いや嬉しかった訳じゃねぇけど!!ただ兄貴のこと考えてただけだし。

「好きでしょ、その人のこと」

「なっ……!!」

コイツいきなり何言い出しやがる。いや、動揺なんかしてねぇよ。兄貴は兄貴だ。オレの兄なんだからそんな感情持つわけないだろ。

「…べ、別に」

「視線逸らすってことは嘘ついてる証拠よ」

ニヤリと浮かべる笑み。なんだか全てお見通しとでも言わんばかりだ。ナルトとサクラは何してやがる。さっさと帰ってきてくれ…

「ねえ」

今度は何を言い出すのかとひやひやしているオレにコイツは近づいてきた。…明らか近い。
退こうとするオレの両肩を掴んで奴はとんでもないことを耳元で囁いた。





















サスケ語りの代名詞は続きます

2011/5/27

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