01

木ノ葉隠れの里。
かつて起こった忌まわしき事件の数々は真実を隠蔽され、事も無げに平穏を保っていた。
それに憤慨した少年が居た。彼は創立期から興る宿命を背負う一族の一人だった。
名をうちはサスケという。
うちは一族はサスケの兄により滅ぼされたが、サスケは真実を知り兄が一人で全てを背負ったことを知った。


それからのサスケは狂気に任せて故郷を滅ぼそうとした。兄に惨劇の命を下した上役の一人の生命を断ったことにより、勢いをつけたサスケは木ノ葉へ向かった。しかしそこに立ちはだかったのが友のナルトだった。それでもサスケが怯むことはなかった。友であろうと何であろうと今のサスケには兄が全てだからだ。
殺すつもりで戦う最中に舞う漆黒の羽。それはサスケには見覚えがあった。
兄の口寄せである烏を彷彿とさせるそれ。どこにでもいる烏ではと疑ったが、烏の瞳が朱い。朱き瞳の紋様は間違いなくうちは一族の証であった。
動きを止める二人の前に、烏が群れて人の姿を成していく。それは今のサスケの心を唯一埋められる人で、ずっと会いたいと思いつづけていた人だった。




「体調はどうだ?」

サスケはイタチの寝ている寝台に寄り添い、イタチの額に手をあてる。
ナルトの中に力を残していたから生還したとはいえ、サスケと対峙した時より力は衰えている。
普段なら紅い瞳である筈の黒い瞳はどこか儚さをたたえている。

「熱はないようだな」

嬉々として微笑み、兄を抱きしめる。いつものサスケからは考えられない程に柔らかい表情である。イタチもそんな弟の頭を優しく撫でてやる。

「あまり気を遣わなくていいぞ。お前も自分のことで大変だろ」

苦笑するイタチの言葉が胸にささる。サスケにとってナルトやサクラは元七班とはいえ、火影や上役たちに赦免してくれるよう周旋してくれただけでなく、サスケの行いも宥和してくれる程だ。なのでこうしてイタチと家で暮らせるのは二人の恩恵が大きい。
しかし、既にサスケには里へ差別や惨劇の元凶である里の任務は吐き気がするものとなっていた。

「少し…散歩に行かないか」

任務はなかった。あったとしても、行く気などしない。しかし、前のようにナルトとサクラに迷惑をかけることは二度としたくなかった。
里を愛してるイタチと散歩でもすれば、少しは気が晴れると考えた。それならばサスケもイタチと一緒に居られるので一石二鳥だ。

「あぁ、いいぞ」

イタチは恬淡に承諾した。その表情は喜んでいるようにも見える。イタチにとっては平穏な里を観るだけでも幸せなことだった。その嬉しそうな表情をみてサスケも徐々に気が晴れていくのを感じた。

兄弟で外に出るのは久しぶりのことである。
イタチが病のために家に居ることが多かったため、外に出るのは久しぶりのことだった。
肩を貸してやりながらゆっくりと外に出る。イタチはそんなサスケにそこまでしなくていいから、と微笑み返す。

「久しぶりだ」

晴れ晴れとした心持ちで言う。
里のことか、外のことかサスケには測りかねたが、二人一緒にという意味は含まれていないことは分かった。

数歩歩いたところでイタチがふらついた。それをとっさにサスケが支える。

「久しぶりで鈍っているだけだ」

嘘だ。サスケはすぐに悟った。
理由が「どれか」は分からないが、「鈍って」ではないことは確かだ。サスケ胸が痛んだ。

「無理するなって言ってるだろ」

苦笑してイタチを支えながらゆっくり歩こうとするが、イタチは大丈夫というようにサスケの手から離れる。鈍っているとあくまで通そうとするイタチに心が苦しくなるが、それでも本人が言うのなら仕方がない。サスケは、イタチを支える手を解いた。
何か異変があればすぐに対応できるように、という用心は欠かさないまま。


ふとイタチが立ち止まる。サスケもイタチから前へと視線を変えた。甘味処かと思ったが、目の前の二人にああと納得する。

「ナルトとサクラか」

イタチもこんにちは、と挨拶をする。二人も挨拶を返す。ナルトに至っては「オウ」という元気な挨拶であるが。

「二人とも元気そうで何よりだってばよ!!」

「ナルト君も元気そうで何よりだ」

どこがだよ、と出かかった言葉を飲み込む。確かに見た目では、やつれた様子は全くない。一緒に居るサスケだからこそ、イタチの具合を知ることができる。

「そうそう、さっきカカシ先生から明日任務あるってよ」

「それでその…サスケ君どうかなって……」

ずけずけと切り出すナルトに対してサスケの任務に対する気持ちを察しているサクラはおずおずと問う。
サスケも心の中で舌打ちをする。イタチの前で任務の話を持ち出してくるとは思わなかったからだ。
イタチに目を向けるとイタチは首を傾げて、疑問に思っている。イタチには前回の任務のことは話していないから当然だろう。
これ以上イタチに怪しまれるわけにはいかない。そう決めたサスケに残された手は一つだけだった。

「あぁ、行く。明日は大丈夫だ」

その返事に二人はとても嬉しそうに嬉々とした笑みを浮かべる。

「じゃあ明日なサスケ!!さーて一楽行こうぜサクラちゃん!!」

サスケから返事聞けたら、ラーメン屋に行けるという約束でもしたのだろう、先程からせかせかしているナルト。
しかしサクラはそんなナルトを叱り付ける。

「バカ。先にカカシ先生に報告が先でしょ。一楽はその後よ!!」

それじゃあここで、と頭を下げるサクラとじゃあなーと手を振る二人はどこまでも対照的である。
ならおそらくサスケはその中間なんだと弟の横顔を見てクスリとイタチは笑った。
明日のことで憂鬱な本人はそんなことには全く気付いていない。









































初っ端の会話の少なさ(笑)
あらすじが殆どじゃないか!!
ぐだぐたしてますが続きます。

2011/6/14

話しか進展ないですけど(笑)
サスケはもう兄さんのことしか頭にないから、全て兄さんに関連付けて行動してます。
ナルトとサクラも兄さんが好きです。総受けですから。
絡みは後ほどになります。

2011/6/20

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