交差 「お前と会うのは初めてだな。あいつのお気に入りと聞いていたが、まさかこんなところで会えるとはな」 「……!お前…トビか…?」 面を外してにたりと笑う。ずっと前からマダラが探していた相手だ。最近ようやく居場所が知れたと聞いていたが。イタチの顎をくいと持ち上げながらトビが笑う。と、思いきや感度を探るように片手が素肌に触れる。夜だからといっても外だけに必死に出そうになる声を堪える。 「予想よりも遥かに敏感だな。あいつに随分仕込まれたんじゃないのか」 無理矢理視線を逸らした。そういえばさっきの者の名前を聞いていなかったな、と思考を別の方へ持って行こうとする。たがその前にトビが引いた。 「…フッ、ただの戯れだ。本気でしようものならあいつに殺されかねんからな。さっさとあいつの元へ案内しろ」 トビはマダラよりはましな性格だと思っていたが、さほど変わらないことを知り苦々しく思う。マダラが二人など考えただけで吐きそうだ。 「ついて来い」 大人しくなったトビをつれ、足早にその場を立ち去る。横目で少年が消えた草陰を見ると、人の気配がないことに不思議と安堵が生まれた。 「どこ行ってたんだってばよ!いねえからびっくりしたぞ!」 先程の女のことを考えながら宿へと戻ると、慌てていたナルトと宿の外で会った。 こいつも不思議なものだ。勝手についてきておきながら、身内のように心配する。 「そんな心配することねえよ。ただお前の寝息が煩くては散歩に行ってただけだ」 「なーんだ!それだけか!!」 ケロッと顔色を変えて布団に潜る。どうやら直す気はないらしいな、と思いつつサスケも布団に潜る。 「ずっと気になってたことがある」 「い、いきなりなんだってばよ」 「どうして…オレに協力してくれるんだ?」 ナルトはサスケの方を見たが、背になってて表情は見えない。ナルトは仰向けになって天井を見つめた。 「最初からそうだった。お前はいきなり来て目的を深く探ることもせずに一言で引き受けた。一体何が目的だ?」 ナルトはシシと笑った。サスケが怒っているのは空気で分かったが、謝罪することもなく、伸びをした。 「オレってばお前に感謝してんだ」 「ちょ、ちょっと待て!前に会ったのか!?」 サスケが起きるのでビックリしてナルトも起きた。 「いやいや、会ってねえけど…うちは一族にオレの仇は討ってもらったんだよ!いつかうちはの人に会ったらお礼してえなって思っててさ」 「なんで、オレがうちはだって分かった……?」 「サクラちゃんから聞いた」 なるほどな、とあっさり納得する。サクラについては何を知っててもおかしくない。 ナルトがもう一度布団に潜るので、サスケも布団に入った。 「昔オレの国が同盟国結ぶ約束してさ、その国の大名のダンゾウがオレの母ちゃんを狙ってて自分の配下におこうって思ってたんだ。母ちゃん、巫女の力があるから…でも、父ちゃんが絶対に渡さないって言うから殺されちまったんだ。で、飽きずに大名は他の奴に目をつけたってさ」 (まさか、それで兄さんが……) そんな経緯があるとは知らなかった。一度ダンゾウの要求を断っているのだ。二度も断れば同盟破棄にもなりかねない。平和を愛するイタチのことだ、持ちかけられてすぐに承諾しただろう。 「でもその後何かあってうちは一族がダンゾウ殺したって聞いたぜ!もしかしてお前が?」 いや……と答えながら脳裏に映るのはニヤリと黒い笑みを浮かべた男の顔。はらわたが煮えくり返るような憎しみをうずめて、ワクワクしながら尋ねるナルトにいつもの調子で答えた。 「確かにダンゾウを殺したのは、うちはの者だ」 「やっぱりそうなのか!」 思えばダンゾウの方が遥かにましだったかもしれない。そうすれば一族が滅ぶこともなかったし、イタチと会う機会も少なくとも今よりかはあった筈だ。 ありがとな、と笑って眠りにつくナルトとは正反対に心の奥底で燃え盛る怒りを堪えながらサスケは眠りについた。 次→ 前回の13と今回の14は続いております。同じ夜の出来事です。 この話ももう終盤に近づいてきてます。 話でいうとあと3日くらいかな!(あまり把握できてないけど) あと本誌でいっちゃってますがネタバレしそうなのでトビの表記にしました。 トビイタって結構好きです。勿論、あのピーーーーー(規制)でも。 2012/12/18 ←top |