恋愛スターダスト

「血晶クームス」のひなちゃんに捧げたもの。
甘々なサスイタ。



「サスケ、星を見に行こう」

そう言い出したのは昼前に倒れたイタチだ。熱はなかったものの病弱な兄のことだ、今日は安静にしておくに越したことはない。と、考えていたサスケは持っていた巻物を落とし、今しがた起きたばかりのイタチを見つめた。

「何言ってんだよ、今だろ起きたの」
「そうだ。今なら星もよく出てるし、月も見頃だろう」
「(そうじゃねえっ!!)」

呆れて椅子に身を投げ出す。ああもうなぜこの兄は突拍子のないことをこうも易々と言うのだろうか、と机に頬杖をついて怒りの混じったため息をつく。そんなサスケの気持ちを他所にイタチは髪を結わえて支度を始める。まさか本気でこんな真夜中に行く気なのかと目を見張るものの、すでにイタチはその気でいるのか手早く済ませて一人でも行きそうな勢いだ。
よくよく考えてみれば夜中に二人でどこかへ出かけるということは初めてだ。ましてやイタチが甘味処以外で外出を誘うこともめったにない。単に夜空を見に行くのも悪くないという気持ちと二人きりで外出する嬉しさを隠しながらサスケはイタチの手を引いて自ら外へ連れ出した。

「いきなりどうしたんだ?てっきり行かないのかと思ってた」
「そんなわけにいくか。外でぶっ倒れて帰ってこないってなったら大変だからな」

ふいとそっぽを向くサスケの真の意図を読み取ったのかイタチが穏やかな笑みをみせる。外は思ったよりも寒くないが、イタチが風邪をこじらせる原因になりかねない。
さっさと行って帰るぞと言わんばかりにイタチの手を引きながら高鳴った心音をなんとか静めようと歩き出す。





「結構星が出てるな…星屑を散りばめたってこういうものを言うのかもしれないな」

空に浮かぶいくつもの点々とした光を見ながらイタチは言う。静かに流れる風が心地よさそうにイタチの髪を揺らす。長くさらさらと流れるそれは天の川のようにも見える。
兄でありながらずっと綺麗だと思っていた。それは今でも変わらない。兄弟としての慕情がいつの間にか愛情に変わった頃よりずっと前から。イタチの横顔にどきりとする。外出時から心音は高まるばかりで、原因となる本人は全く気付く様子がないのだから滑稽だ。
いっそこの思いを流れ星にでも乗せて届けてくれればいいのに、と普段抱くことのない空想をわずかに抱いてしまう程に思いは募り膨らんでいる。

「サスケ、どうした?」

いつの間にかイタチの手を強く握っていたらしい。イタチが握られた手を少し上げると自然に繋いでいたサスケの手も上がる。サスケはしばらくその様子を見て考え込むように沈黙していたが、ゆっくりと握った指をイタチの指に絡めていく。
イタチは子供のように関心を持って不思議そうに見ているだけで抗うこともしない。そんなイタチにふいにサスケは口付けた。甘く、温かいキスにサスケは酔いしれた。それから離しても瞬きを何度か繰り返すだけで動こうとしないイタチに帰るぞ、とそっけなく放ってもう一度手を引く。

「サスケ」

後ろからかかる声にサスケは答えられなかった。これまでになく心音は小刻みに早く打ち続けている。夜目で人目にはつかないが顔にも羞恥の色がはっきりと出ているような気がしてならない。
と、手を引いていたイタチが横に並ぶ。なるべくサスケはイタチの方は見ずに変わらぬ歩調で歩いていく。

「やっぱりお前と星を見れてよかった」

呟くように言った言葉に思わずイタチを見ると、先ほど星空の下で見た時よりも頬が染まっているような気がした。それ以降、互いに何も言うことはしなかったが、絡んだ指は二人の思いを繋いでいた。





















sasukひなちゃんからはもらっていたというのにこの遅さ…。
甘々って書くの初めてでああでもないこうでもないと試行錯誤してなんとかできました。
ひなちゃんこれからもよろしくお願いします!

2012/10/31
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