04

しかしながらここで聞くのはまずい。サクラに聞かれるわけであり、暗部やカカシなどにバレてしまう可能性もある。

「悪いがサクラ、演習はまたの機会でいいか?」

「え、うん。私は別に構わないけど…ねえ、もしかしてサスケ君、この子って…」

サクラが言う前にとっさにまずいと感じた。だがそれはサスケだけでなく、イタチも同じだった。先に動いたイタチが幻術をかけ、その後サスケが気絶させた。

「何で幻術なんかかけたんだよ」

「お前こそ、なぜ気絶させたんだ?そのままだと可哀想だろう」

しかしサスケにしてみればサクラよりもイタチの方が大事に思えた。とりあえずこの場から離れて家に向かう方がいいだろう。
そう思考が定まれば後は容易だ。易々とイタチを抱えあげて、サスケは家へと向かった。



「変わって…ない…」

家に着いたとき無意識にイタチは呟いた。
だが同時に憂いを帯びた表情をする。もしやと思いサスケは恐る恐る訊ねた。

「お前にも、あの時の記憶があるのか?」

弾かれたようにイタチは振り返る。ここでの答えを何一つ用意していなかった。
しかし、ここで答えてしまえば己のしたこと全てが無駄になる。ならば記憶がないように振る舞ってしまえばいいだけだ。

「お前を初めて見たとき気付いた。どうやらここは未来のようだな。父さんや母さんは?」

辺りを見回しながら横目でサスケを見る。辛く、憂いを帯びたその表情を隠すように俯くサスケを見てなんとかごまかせたと確認し、静かに安堵する。

「オレはサスケとかくれんぼをしていたんだ。隠れた近くの祠がどうしても気になって、近づいたらいきなり光始めて…気がついたらここにいたんだ」

「つまり…時を超えてここに来たってことか」

サスケは頭を抱えた。あの夜を知らない幼いイタチを憎んだところでどうしようもない。

「…ひとまず家においておくか」

過去に戻す方法が見つかるまではそれしかない。イタチはすでに犯罪者だが、このイタチを火影や暗部たちがどう処理するか分かったものではない。
ふとイタチを見ると疲れたのか机に突っ伏して寝ている。警戒心が全くないのは自分が変わらぬ自分だからだろうか。まさか復讐心を抱いている、とは思ってもいないからだろう。
家に他人を入れるなんて久しぶりだと感じながら穏やかな寝顔にいつの間にか魅入っていた。




















この世界、サスケはイタチから見たら未来と思っていますが、イタチからすれば過去なんです。(ややこしっ!)
ここからじわじわと当サイトのサスイタに移行していきます。

2012/8/3
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