03

イタチも少しは自分に自信を持っていた。
気配を消すことなど、暗部の分隊長を務めていたときなど常だったし、今もたまに気配を消すことは多々ある。無論、その業が病で衰えるなんてことはない。
静かに流れる雲と沈黙。しかし、どれほど経とうが状況に変化が訪れることはない。
隣の枝の隙間から見える鳥が首を傾げる仕草をしては羽を整える。今変化したとしても手遅れだろう。
こうなってしまった以上仕方がない。ゆっくりと息を吸い、イタチは意を決して枝から足を離した。

「なーんだ、子供じゃない。にしても見かけない子ね。それになんだか…」

隣のサクラがちらりとサスケを見る。いつも冷静に対応するサスケからは想像しえない程の驚きを目の前の子供に見せている。どちらかというと、子供の方が冷静に対応しているように見える。

「サスケ君の知り合い…?」

おずおずとそう問いかけたのは、確信がなかったからである。単にその子供が着ているものがサスケの服と似ていた、という単純な理由だ。だが、そうでなければサスケも異様な反応をみせるはずがない。
しかし、サスケは答えない。どうすればいいか分からないこの状況の中でイタチがぺこりと頭を下げた。

「すいませんでした。ちょっと木登りの練習をしていたんです。演習場に行ってきますね」

少し早口で伝え、場を立ち去ろうとする。嫌な予感は的中。ここで目立って大事にされたらまずいと、サスケの握った拳を見ながら判断した。

「待て…」

───来る。
怒りのこもった口調にそう感じるや否や、イタチは走り出していた。

「待てって言ってんだろ!!」

チャクラを使ってものすごい速さで追いかけてくる。チャクラを使いたいが、今のイタチは、チャクラはあっても使える程度に限界がある。使う場所を慎重に考えなくてはならない。
ザッと振り返ってサスケを迎え撃つように対面したあと、すぐに印を結ぶ。

「火遁・豪火球!」

火がサスケへと向かう。タイミングがあとわずかずれていれば捕まっていただろう。
サスケへ少し後ろにさがって距離をとり、かき消すように起爆札つきクナイを飛ばす。

「よし…!」

思った通り時間稼ぎができた。数秒間、辺りは煙に包まれる。この間に姿をくらませば問題ない。そう思ったのも束の間、服の襟を掴まれて宙ぶらりんにされ身動きがとれぬまま煙が晴れた。
恐る恐る顔をあげれば、見下ろすようにサスケの顔がすぐ傍にあった。

「逃げられるとでも思ったか?」

心の内を読んだようにサスケが言い、冷や汗を流すイタチ。別に返事など最初けら期待していなかったのだろう、サスケはイタチを容易くと肩に担いだ。

「今から聞きたいことが山ほどある。たっぷり尋問するから覚悟しろ」

最悪な状況はまだまだ続く。そんな予感がした。





















やっとこさの更新です。
でも書いてて楽しかった…!
この時期(一番初期の頃)はサスケもみんなに優しかったし、(まだ出てきてないけど)ナルトもそんなにサスケェサスケェしてないから好き放題できる!(ぇ
アニメで手がくっついちゃった回とかあったんだからそれぐらい羽目外してヤっちゃおうとか思ってます。

2012/7/19
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