02

風の心地よさにイタチは目を覚ました。
木々から零れる木洩れ日の温かさが穏やかな昼間であることを示している。
イタチはゆっくりと木から離れて立ち上がる。
普段見かける木よりずいぶんと大きな木々が並ぶものの、場所は見覚えがある。

───木ノ葉の里だ。

過去の記憶を頼りに歩く。今更ながらマダラにいつの時代に飛ばす気か訊いておくのを忘れたことに気づき、がっくりと肩を落とす。
しかし見たところ、所々記憶に残っている。ということは自分が生まれてからの世界に違いない。その証拠に大きく彫られた顔色には四代目の顔岩まで残されている。
なら重要なのは九尾の襲撃だ。もしそれを阻止することができれば、一族は───。

「おい、ボウズ。ちゃんと前見て歩けよ」

覗き込むようにして大きな男がヘヘと笑いながら告げた。反射的に頭を下げて謝ると頭に手を置かれた。

「礼儀正しいな、ボウズ。親御さんのしつけがいいのかもな」

男を見上げながらイタチは不審に思った。
男の背と男が手をおく位置があまりにも差がありすぎている。見たところ目の前の男は特段背が高いというわけでもなさそうだ。
先ほどの男の言葉を思い返して嫌な予感を覚え、すぐさま近くの橋へと駆け出した。

「…やっぱりだ……」

橋から自分の姿を見下ろす。水面に映る自分は遥か昔の幼い自分だ。
あの師匠、絶対わざとだ。後で戻ったら絶対問い詰めてやる。
ふと橋の向こうから来る人の気配に、近くの木の上に身を潜めた。

「え!?ほ、ほんとに…!?」

長い桃色の髪の女の子が喜びの声をあげる。誰かと話しているようだ。イタチは体少しまえのめりにして覗く。何も問題がなければこのまま降りて移動すればいい。かくれんぼなどと言っておけばなんとかごまかせる筈だ。

「じゃあよろしくね、サスケ君!」

ピタリとイタチは動きを止める。今、聞こえたのはまさしく弟の名前。じっと目をこらせば後ろ姿だが一族の家紋がありありと見える。
見たところ12くらいだろうか、だとすれば既に自分は里を抜けている頃だろう。
ともかく一刻も早くここから去ってくれることを祈る。見つかればややこしくなる結果になりかねない。

「ああ、だがちょっと待て」

カッと音とともに木に刺さる手裏剣。当たってはいないがすれすれに横切るそれに、知らずと嫌な汗が流れる。

「そこに誰かいるのは分かってるんだ、さっさと出てきたらどうだ」

こちらに来て間もない最悪の訪れであった。





















拍手文で長編ってどうなんすか(゚ロ゚)!って感じですけどお許しください……。
一万御礼の特別長編なんで!(必死な言い訳)
サイト自体不定期更新の中、最も不定期更新というハチャメチャで更新していきます。
終わりとか考えてないけどね\(^o^)/!

2012/6/25top





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