時、同じく

「お前の名前は?」

「…サスケ」

ナルトのペースに乗せられ気がつけば口が名を明かしていた。

「じゃあサスケ、なんかねえの?手伝ってほしいこと」

初対面にしては馴れ馴れしい態度だが、それを面白いと思ったのは国を出てから大して人と話していないからだろう。
それに何故だかナルトには嘘をつく気になれない。サスケもナルトは裏切ることはない、と何故か確信していた。

「人捜しをしている」

「人捜し…一体誰を?」

澄んだ碧眼をじっと見据える。茶屋で店の者を助けた時もそうだが、困った者を放っておけないのはこいつの性分だろう。

「オレの兄だ」

聞いたナルトは驚きも呆れもしなかった。
ただ先ほどのようにニカッと笑い、すっと立った。

「よっしゃ、んじゃ明日から探そうな!よし、今日は寝るってばよ」

ナルトは押し入れから布団を出す。いつの間にか押し入れには二人分の布団が用意されていた。
ナルトの行動の早さに驚き、呆れたのはサスケの方だった。

「…ったく、ウスラトンカチが」

サスケが呟いたその言葉とは裏腹に言い方には嬉しさが含まれていた。
隣で既に床についているナルトの隣に布団を敷きながらここのじいさんは用意周到だな、と思いつつ布団に入った。






隅にある行灯が一人の男の影を障子に映しだす。
男は手をそわそわと動かしては部屋の奥の襖が開くのを今か今かと待っている。
早く全てのことを忘れて寝てしまえ、と先ほど呑んだ酔いと傍の布団の誘惑が、長い時間待たされていると錯覚させる。が、それでも男はこれからの楽しみのため、決して誘惑に負けることはなかった。
そうこうしているうちに襖が開いた。
静かに待っていた者が入ってくる。男はその者を見て目を丸くした。
先の宴の席とは打って変わり、白の長襦袢の出で立ちは朧気な灯りと相まって妖艶に映し出す。それに対比するように、美しい漆黒の髪は緩く紐で結わえられている。
女と見間違えてもおかしくはない容姿にうっとりと男は目を細めた。
傍にきたと同時に髪の紐を解いた。触れられずにはいられなかった。もはや理性はすでに切れかけている。
布団に押しつければ髪が布団に散らばる。
もう限界だ。早くものにしてしまいたいとその者を掻き抱いた。
だが次の瞬間、布団に埋められたのは男の方だった。
赤に染まった布団とぐったりした男をしばらく見つめてから自分の短刀を男から引き抜いた。

「上手くやったな」

いつからいたのか、襖にもたれながらマダラが言った。イタチは振り返りはしなかったが、眉間に皺を寄せて不愉快な表情を浮かべた。

「そっちはどうなんだ。情報をこいつが吐いたとしても裏の居所が掴めなければ意味がない」

マダラはフンと鼻を鳴らした。

「馬鹿にするな、既に把握済みだ。そうでなければお前の働きが無駄になる。しかし…あと一息だったな」

ひらりと移動して刺された男の傍にしゃがみ込む。マダラは哀れむような言葉を口にしながらも口調は馬鹿にしたような笑いを含んだものだ。
いつもと同じように死人との戯れを楽しんでいるマダラを無視して奥の襖に着物を取りに行こうと立ち上がる。

「───っ!」

「お前はこうして欲しかったんじゃないのか?」

いきなり押し倒されたかと思うと、前の分け目から手を入れられて直接肌に触れてくる。
思わず熱い吐息を洩らしそうになるも、すぐさまマダラを押しのけて距離を取る。
少し熱に浮かされた体を沈めるように深く息を吐いた。

「戯れも大概にしろ」

「好きにしろ、と言ったのはどこのどいつだ?」

イタチが言葉に詰まったのを見て嫌な笑みを浮かべてくる。話すのも嫌になったイタチは前の合わせ目を整えて着物を羽織った。

「まあいい、お前などいつでも好きにできる。続きは一段落ついてからだな」

イタチはそれには返事をせずに後を頼む、とだけ告げて外へと去っていった。





















ついに兄さん登場です!
そして私初の裏要素醸し出したぞ!(裏なのかこれは)
時代劇って小説とかドラマ見ていても大体夜伽のシーンってあると感じます。
時代劇の話やってるなら夜伽あってもいあよね!という発想ですけど、年齢制限あるようなものを私が書ける訳ないので期待はしないでください(笑)

2012/5/31

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