相棒

日が傾き、橙へと家々が染まっていく。
一日が早いと感じるのは充実している証だ、とかつて兄が言っていた。

「くそ…」

今日も収穫なしの一日が過ぎていく。また明日にかけるか、と考えながら今日から世話になる宿に戻ると、戸がカラカラと鈍い音を立てながら開いた。

「おお、来たか。お前さんの帰りを待ってたんだよ」

番頭の親父がくしゃりと顔を歪めて笑う。番頭とは今日初めて会ったばかりだ。サスケはすぐに不審に思う。

「アンタが待つような関係でもないだろ」

「そうじゃないさ。実は急に宿がないと言って転がり込んできた輩がおってな、そいつが金がないときたもんだ。で聞くところ、あんたと知り合いらしくてそいつの宿代をあんたが持ってくれると言っとったんでな」

木ノ葉国を出た今のサスケにとって知り合いなどいない。ならば必然的に相手が一方的にこちらを知っていることになる。
国外で知る者とすれば一人しかいない。

「そいつは、今どこにいる?」

番頭は声の調子が瞬時に変わったことを悟る。
犬猿の仲なのであろうか。それにしては殺気に満ちている。

怒りに触れないよう恐る恐る場所を告げた。

「お前さんの…部屋だよ」





あの日…全てが狂わされたあの日、サスケに残ったのは孤独と男に対する憎しみだった。
そして、兄をものにしたような笑いは焼き付いて頭から離れることはない。
兄を救い、一族の仇を討てるのは自分だけだと確信していた。その時がついに来た。
サスケは部屋の前で静かに短刀を鞘から抜いた。
一呼吸置くと同時にさっと襖を一気に開けた。

「…なっ!?」

そこにいたのは知り合いとは言いがたい関係の人物。
金髪に碧眼。まさに茶屋で出会ったあの少年だ。

「よお!…ってうおっ!あ、あぶねーからそれしまえってばよ」

その言葉にサスケはおとなしく刀を鞘におさめた。きっと鋭く睨みつけ、八つ当たりに近い感情を金髪の少年に向けながら質問を始める。

「なぜお前がここにいる?」

「いやオレってば金なくてさ、それで安い宿探してたんだってばよ。で、じいちゃんと交渉してたらお前が泊まってるって聞いてよ。ヘヘ、奇遇だな」

なるほど、とサスケは思った。これまでにもおそらく宿を見つけては交渉を繰り返してきたのだろう。それで無賃で泊めてもらっていたに違いない。

「まあ、じいちゃんにはお前が払うって言っちまったけど、その代わりお前の手伝いしてやっからさ」

「て、手伝いって…」

「オレはナルトってんだ、よろしくな」

手を差し出しながらナルトはニカッと笑った。





















久々の更新になってしまい、すいません…!!
私自身やっとここか!の域です、まだここか!大方の話出来てるので駆けるように書きたい!あ、そうか話が亀ペースで進んでるからこんなに遅いんだ!(笑)
そろそろ兄さんを登場させたい頃ですが、なにかと話は亀ペースなんで(汗

2012/5/27

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