初会

町に出たサスケは甘味処にいた。
甘味処は様々な客が立ち寄るため、情報を得やすい。それに、甘味が好きな兄のことだから、偶然にもであえるかもしれない。甘味の嫌いなサスケがわざわざ団子や餡蜜などの甘い香りを我慢してまで来るのはそういう理由があるからだ。

「いらっしゃい、何にします?」

程よく温まった茶を置きながら、店の女が目を輝かせながらどこか嬉しそうに尋ねる。
年は同じくらいだが、珍しい髪と瞳の色をしている。不思議なものだと見つめていると、女は照れくさそうに頬を赤らめた。
これまでにも何度か見た女の変化に、サスケはため息をついて品書きに視線を戻す。

「ところてん一つ」

注文の言葉に緊張しながら女は了承の意を継げると店の奥へと消えていった。
さてここからだな、とサスケは茶を啜りながら店内を見回す。老舗でありながら客は比較的若者が多い店だ。だからといってイタチらしき人物はいない。

「…いい加減ところてん飽きてきたな」

「何だとテメェ!!」

ぼそっと呟いた言葉が聞こえたのかと慌てて振り向くと、二人の男が言い合いになっている。と言っても先程叫んだ男が金髪の男につっかかっているというほうが正しい。
金髪の男の後ろには女がいる。サスケに茶を運んでくれた女とは別の女だ。どうやら男が女に手を出すのを金髪の男が止めに入ったのだろう。

「だから、いい加減にしとけって言ってんだ」

男の腕を捻り上げて金髪の男は言った。男はそれに反抗しようと空いた片手で金髪の男に掴みかかろうとする。だが、逆にかわされて金髪の男からの攻撃を受ける。
金髪の男はどちらかというと少年であり、大の男を負かしている。
勝負あったな、と一目で分かる光景だ。

「くそっ!」

男は顔を腫らしながら店を出ていった。案外呆気ないと思ったのは男が大したことないからか、それとも…と金髪の男を見る。

「大丈夫だったか、ヒナタ」

金髪の男は、後ろにいた女に声をかける。恥ずかしそうに顔を赤らめながらしきりに首を縦に振る女の様子を笑って見ているのも束の間、何か思い出したように慌ててふためき始めた。

「オレってば今晩の宿を探さねぇと!じゃあまた今度な!」

忙しない奴だな、と思いながら、いつの間にか机に置かれていたところてんを食べ始める。
店を出ていく金髪の男が一瞬こっちを見たのには気づかなかった。





















大分放置してすいませ…!
長々だらだらと話の展開遅いですがもうしばらくお付き合いくださいませ。

2012/4/14

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