残雪

5523で香菜様から頂いたキリリクです。現パロ仕様なのは私の好き勝手やらしていただいた結果です。
サスケ16歳、イタチ21歳のお話。



静かに白が舞い降りる。普段さくさくと歩いて帰れる帰路に足跡をつけながら、ため息を吐く。そのため息は白い息として目に見える形で表れ、すぐに消えた。

「寒い…」

学校からの帰り道。いつも一緒に帰るナルトは、嬉しそうに満面の笑みをサスケに向けて走って先に帰った。なんでも、長い間旅行に出かけていた両親が今日帰ってくるらしい。またすぐに出かけるのは目に見えているが、少しでも会えるだけ羨ましい。
サスケの両親は、幼い頃に交通事故で二人とも亡くなった。そのため、ずっと兄と二人暮らしをしているが、生活のため学校に行きながら働く兄は、あまり家に帰ってくることはない。事実この一週間で交わした言葉は、ほんの僅かばかりにすぎない。最後に兄を見たのもサスケにとって半年以上も前に感じられた。

「…くそ」

雪が降りだし、ぽつぽつとサスケの体を濡らしていく。朝のうちだけだとふんで傘を持って来なかったこと今更悔やむ。だが、雪はちらちらと降りかかる。降り止みそうにないなら、屋根の下で休んでも同じことだ。降りかかる雪が水となり、髪や上着を濡らすことを気に止めず、白い地に足跡をつけながら歩く。

「下ばかり見ていたら危ないぞ」

はっと顔を上げれば見慣れた赤い傘。長い髪を緩く結わえた自分より少し背の高い男性は見間違うことなどない兄であった。

「兄…貴、なんで…!」

久しぶりで嬉しさが込み上げてくるも、それ以上に突然すぎて言葉が出てこない。ぎっと絞り出した声は歯切れが悪く、自分でも可笑しなくらい素っ頓狂な声だった。

「今日は節分だからな、お前と一緒に夕食食べようと思って早めに切り上げさせてもらったんだ」

にこりと笑いながら優しく紡がれる言葉に胸が熱くなる。探してたマフラーが見つからなくても帰りのこの時間は暖かいと感じた。

「ほら、寒いだろ」

そう言って差し出された肉まんは、自分の凍えた氷のような手にじんわりと体温を与えてくれるようで、食べるよりもカイロのように持っていたかった。

「こうしている方があったけぇ」

ずっと渡した肉まんを持ったままのサスケが大分と寒そうに見えた。傘もないまま雪の中を歩いていたのだから無理もない話だ。イタチはすぐに上着を手早く脱ぎ、サスケにかけた。

「お、おい!」

「こうした方がもっと温まるだろう?」

自分より少し大きめのコートは容易く自分を覆う。微笑みながら隣を歩くイタチは寒さなど全く気にしていないように見えた。

「あったけぇ」

コートの暖かさと兄の温もりにサスケは自然と言葉を吐いた。





















遅くなりました!
香菜様から頂いたのは「兄さんの看病するサスケ」です。どこが!?な展開ですが、続きはWebで!続きます。

2012/2/3






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