去棲死離


「同棲生離」のお話。
両親の死やら家督相続の話なので、先に中編の話を一読されることをお勧めします



生者必滅。
生きている者には必ず死が訪れる。
そんな言葉をいつから知っていたかなんてサスケは知らない。
ガタン、という扉の開く音が無ければ今も楽しく四人で暮らせていただろうか。
そんなことを考えながら、横ですやすやと眠るイタチの髪にそっと触れた。



「サスケ、お前に話がある。家のことについて重要な話だ」

帰ってきたことに「おかえり」と挨拶を告げる暇もなく切り出された。
流されるようにそのまま父の部屋の椅子へと腰をかける。時計を見なくてもすでにイタチは寝ている。飲む薬のせいで眠くなるのも早い。

「…で、話って何?」

フガクはゆっくりと一息吐いた。父が話の前にする動作を見て、サスケは眉間に皺を寄せた。嫌な話に違いない。

「お前に家督を継いでもらうことにした」

ピクリと手が無意識に動いた。この家がどんなに裕福かは知っている。家督を継げることはとても喜ばしいことであるが、サスケは素直に喜ぶことは出来なかった。頭によぎった一つの疑問を言葉にする。

「イタチは?家督は普通長男が継ぐものだ」

「イタチか。アイツは――」

フガクが話し終わったと同時に、サスケは動いていた。もし、母親が物音を聞きつけて単に来ただけだったなら、母親に手は出さなかっただろう。

「お願いサスケ!あの子のことは諦めて」

「産みの親が言う台詞かよ」

コイツも同罪だ。そう思ったときには近くの花瓶をミコトに叩きつけていた。
ここでイタチが起きるのはまずい。部屋を綺麗にしてからそっと家を出て、二人を家の山へと運び崖から落とした。

「オレがイタチの面倒をみる。絶対に、他の奴の元へなんかやらねぇ」

血まみれになった二人を無感情に見つめながら、サスケは言い放った。

「サスケどこへ行っていたんだ?」

家に戻ると、目をこすりながらイタチが階段を降りてきた。愛しい兄の姿を目にして安堵しながらサスケは微笑んだ。

「兄さん……」

ぎゅっと抱き締めれば兄の温かな温もりに触れられる。離ればなれになって暮らしていくなどサスケには到底考えられなかった。

「父さんと母さんが亡くなったんだ。でもイタチのこと頼むって言われたからさ、オレ寂しくなんかねえよ」

驚きと戸惑いの感情がいれ混じって、どうしたらいいか分からないイタチを安心させるように愛しさを込めて続ける。

「オレは必ずアンタを手離したりなんかしない」

何かを決心するような、誓いのように強く発したこの言葉の意味をイタチが理解するのは、そう遠くない話である。




















いつか書くと言っていたのを最近になって思い出しました(遅
この話の終わり方ってちゃんとあるんだぜ!とか言い出したらほんとにキリがないです。なんでもっと書かなかったんだ…

2011/12/30

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