12月24日

一応現パロ。


冬になればいつもこうだ。
冬の楽しみといえばこれしかないのかといいたくなるほど、夜の街は賑わう。
当然のことながら自分の誕生日を祝うような素振りもなく、聖なる神を祝う行事の季節がきたとわいわい騒ぐ。
そんな日を誰と過ごそうかなんて神は知ったこっちゃないし、贈り物を渡し合ったからといって、他人に話す話題だけにすぎない。
つまり、ただ自分が楽しめればそれでいいという祝い事だ。
そのクリスマスシーズンが今年もやって来た。

「お前もその類いか」

ギロリと睨め付けるように部屋の人物を見やる。
普段束ねている黒髪を横に流し、聖なる夜を祝う装飾を部屋に飾りつけている。
くるりと振り向いた表情は楽しんでいるように微笑みを浮かべている。

「何言ってるんですか。楽しみにしていたのはあなたじゃないですか」

その言葉にふてくされたようにしかめっ面で返す。確かに言ったのは自分だ。けれどそれは、イタチがいつもと違った夜の街を楽しそうに歩いていたからである。

「楽しみだな」

買い物から帰ってきたイタチにそう告げてやれば、ニコリと微笑みを返された。

今思えばそれは肯定の意味ではなく、「あなたでもクリスマスが楽しみなんですか」という可笑しさを表した笑みだったのだ。
だが否定しようにもマダラが自分から「お前が楽しそうだったから」などとは言えない。否定が出来なければ肯定と受け止められても仕方がないことだ。

「なら勝手にそう思っとけ」

マダラはこう言うしか他になかった。
ふわりと脚立から降りたイタチは、トンと大きな包みを机の上においた。それはソファーに寝転がるマダラからも見える位置。一枚一枚包みを広げる様は、まるで子どもがわくわくしながらプレゼントを開ける様のよう。

包みを払って現れたのは緑の葉と赤い花。クリスマスに相応しいその色合いにまた嫌気がさす。

「その花は?」

「ポインセチアです。別名クリスマスフラワーというんです。花言葉は…祝福」

「ほぅ…それは架空の神もさぞお喜びの花だな」

「何言ってるんですか。その架空の神の誕生は明日ですよ?」

目をぱちぱちと瞬かせてイタチを見る。クスクス笑いながらイタチはカレンダーを指し示す。どうやら誕生は自分と同じではないらしい。

「クリスマスの日なのか?」

「ほんっとに世間知らずですね。だからクリスマスの綴りに神の名が入ってるじゃないですか。イブとは前日の意味ですよ。だからこれはあなたの出生日のお祝いです」

頬杖をつきながらニコリと微笑むイタチに、つかつかと歩み寄る。ポインセチアの花を葉から引き離してイタチの髪にさす。

「オレの祝いなんだろ?だったら今日一日髪にさしとけ」

時計を見れば午後十一時。もう少し早く言えば良かったと後悔の苦笑を洩らした。




















隠れタイトルは「Christmas flower」です。
設定ではイタチ21歳、マダラ28歳。
別に設定なしでも読めるようにしたのは、これが元々私の脳内設定だからです。
7歳差万歳!(訳分からん)

2011/12/24

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