弟頼

「背に頼り」の修正版。
サスケ視点。
兄さんがまたまた熱だします



任務が終わり、家に帰ってきてすぐさまサスケは家の扉を開けた。

「兄貴っ!」

静まりかえった空間にはいつも兄が履く下駄はなく、食卓に置かれたのは一枚のメモ用紙。

『暖房器具買ってくる』

それを手に取って手のひらで握りしめる。
昨夜はかなり冷え込んでいたから、風邪気味の兄の布団に潜り込んだ。
高かった熱も近頃は微熱へと下がったから、もう明日にでも治るだろうと思っていた矢先のこと。
明日にでも治るというのは、寝ていたらという意味でだ。
弟のために暖房器具を買う気力があるなら、少しは自分を治す方に費やしてほしい。

「くそっ!」

舌打ちをしてサスケはすぐに元来た帰路を引き返した。



「いねぇ…」

店にきてあちこち探したものの、兄はどこにもいない。
まさか誘拐か、それとも別の理由でここまで来られなかったのか、いずれにせよここにいないのは事実だ。
すれ違った可能性もある。ゆっくりとサスケは家路を歩く。

いっこうに兄と会うことはない。
まさか今頃店に着いたとかではないだろうな?何度往復しなきゃならないんだ。ああもうこの門くぐったら家はすぐだ。うちはの集落に繋がる門をくぐれば、せんべい屋があって―。
ふとせんべい屋の前でサスケが立ち止まったのは、懐かしむためでも、感傷に浸るためでもない。

「おい、兄貴!しっかりしろ!」

せんべい屋の前でぐったりと横たわる兄を抱き起こす。ゆっくりと目を開ける所作に安堵したのも束の間、すぐに額に手をあてた。
サスケが予想した通り、かなりの熱がある。また再発したことに溜め息を洩らしているとイタチが口を開いた。

「すまない…店に行こうとして、それで」

「暖房器具は買えなかったんだろ、別にいいって」

暖房器具よりアンタの布団の方が温まる、と出かかった言葉を飲み込んでイタチを背負う。

「オレは別にいらねぇって言っただろ。ほんと買えなくて良かった」

熱が上がってしんどいらしく抵抗せずに大人しくおぶられたままのイタチ。普段出来ない行為に少しこれはこれでいいかもな、と思ってしまう。

「アンタは背負いすぎなんだよ。少しはオレを頼れよ」

イタチは承諾の言葉の代わりにサスケの背で体を預けて目を閉じた。





















「背に頼り」の修正版です。
え!?何事!?と思われる方もいらっしゃいますが、私が一番ききたい(笑)
間違って消してしまったから、一から覚えてるだけ書き直ししました。
色々違う点ばかりで、前の方が良かったと思われる方たちには本当に申し訳ないです。


2011/12/11

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